2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380067
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
前田 直子 京都女子大学, 法学部, 講師 (80353514)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際人権法 / 欧州(ヨーロッパ)人権条約 / 判決履行 / 国家義務 / 救済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、欧州人権裁判所の個人申立事件に対する判決・決定を対象として、同条約第46条1項に規定されている締約国の判決履行義務の強化(2010年以降)により、その法的位置づけや実体的内容について変容を遂げているのかを実証的に検討することである。 今年度は、昨年度の作業で特定した、判決履行に支障をきたしているいくつかの事例について、当該事件の事実的背景や他の類似事件との連関、判決履行が困難となっていることの要因を検討する作業を進めた。これについては、パイロット判決手続との強い関連性の視点から、キプロス紛争に関連する事例(Xenides-Arestis対トルコ事件)を中心に、判例評釈の体裁で論稿を執筆した(公表は来年度の予定)。また昨年度に国際シンポジウムで行った研究報告をもとに、欧州人権裁判所および欧州評議会閣僚委員会による人権裁判所判決履行制度の現状と直面している課題について、英語の論稿を大学紀要において公表した(後掲:13.研究発表)。 本研究は、欧州の地域的人権条約による人権保障制度を題材とはしているが、その研究の趣旨・目的には、欧州の状況を、日本における人権条約の国内的実施に対する大きな参考材料とすることが含まれている。このような観点から、日本における児童の権利条約の実施状況についても対象を広げ、国際基準の国内的実施という視点から、論稿を執筆し、学会雑誌にて公表した(後掲:13.研究発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論稿は執筆できたが、条約締約国や欧州評議会担当職員へのインタビュー調査などのための海外調査へ出向く時間的余裕が本務校業務との関係でなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った、欧州人権裁判所の判決データベースをもとに行った統計的作業をもとに、選定した条約締約国への現地調査および資料収集を予定している。また欧州評議会の判決履行監視部の担当職員からも情報・意見を聴取し、最終的な成果をまとめた論稿の執筆や研究会等での報告を行う。
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Causes of Carryover |
昨年(平成26年)度中に、本研究課題に関して2回の外国調査を予定していたが、本務校業務などの都合により、1回しか実現できなかった。また研究関連図書の出版状況も比較的低調で、予定よりも購入数が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の最終年度にあたる今年(平成27年)度は、関係各所への調査旅行(1回)と成果報告(1回)を実施したい。
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Research Products
(3 results)