2013 Fiscal Year Research-status Report
政府の統治構造と財政政策の決定メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
25380172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田中 秀明 明治大学, その他の研究科, 教授 (40463963)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 議院内閣制 / 内閣 / 政党 / 意思決定 / 財政 / 政治主導 / ガバナンス / 国際比較 |
Research Abstract |
1.本研究は、主要先進諸国の国際比較を通じて政府の統治構造と財政政策の決定メカニズムを分析し、政治制度及び予算制度と財政パフォーマンス(財政赤字の抑制や資源配分の効率性など)の関係を明らかにすることを目的とする。具体的には、財政政策の意思決定や予算編成過程における、執政府(内閣)内の首相と大臣・大臣と官僚、執政府と議会(与党)などのプレーヤー間の関係とこれらのプレーヤーをコントロールする予算制度が財政パフォーンマンスに与える影響を分析するものである。 2.初年度である平成25年度は、理論モデルの構築とプレーヤーの関係などを類型化するための予備調査を主な課題としていた。具体的な研究実績としては、第1に、先行研究のサーベイであり、これまで欠けていた比較政治学に関する先行研究を主な対象とした。具体的には、議院内閣制の全体的な特徴を分析・類型化する研究を概観した後、①内閣の特徴を分析する研究、②内閣と議会・与党の関係を分析する研究(政党の性質を分析するものを含む)、③政策立案に関する紛争処理や連立のガバナンスの手段やメカニズムを分析する研究、をレビューした。和英の書籍は約80冊、論文は約60本をレビューした。第2に、予備調査の対象としてドイツを取り上げ、2013年11月に現地調査を行ったことである。具体的には、ボン大学及びベルリン公共政策大学院の教授とドイツ財務省予算経済担当課長へのインタビューを行うとともに、経済協力開発機構(OECD)の上級予算担当者会議に出席し、主要先進諸国の予算改革の動向を聴取した。 3.研究のアウトプットとしては、2013年9月に、日本財政学会第70回大会において、政府の統治構造と財政政策の決定メカニズム」と題する論文を提出するとともに、発表を行った。本論文では、先行研究のレビューを行うとともに、民主党政権下での予算編成、政府・与党の関係とガバナンスを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の基盤となる理論モデルの構築が十分ではなかった。先行研究のレビューに時間がかかり、それに基づく新しいモデルの検討に時間がかかっているからである。ただし、後述するように、26年度の前半において、遅れを取り戻す見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.理論モデルの構築に時間を要しているが、26年度に入り、ほぼその目途はたったところである。2014年5月25日に予定されている日本行政学会において、「政府と与党の共同のガバナンス」と題する論文の提出と発表を予定しており、同論文において、本研究の基盤となる理論モデルを示すこととしている。 2.2年目の26年度においては、理論モデルにより分析の基本的な枠組みが整理されたので、これを踏まえて、当初の研究計画において課題としていた、対象国の政治制度の比較分析・類型化に力を入れる。具体的には、第1に、国際比較として、ドイツに加えて、オランダ、フランス、スウェーデン等を分析することとしている。第2に、政治制度及び予算制度と財政パフォーマンスの因果関係の分析に向けて、データの収集を行うこととしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が発生した主な理由は、学会発表が東京で行われたため、国内旅費が不要となったこと、海外調査において通訳及び関係資料の翻訳が不要だったことである。 次年度においては、海外調査を複数回予定しており、そのために執行したいと考えている。
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