2013 Fiscal Year Research-status Report
国際生産ショック後の東アジア産業システムと企業システムの進化的多様性
Project/Area Number |
25380225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
植村 博恭 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (70184976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳丸 宜穂 名古屋工業大学, 都市社会工学科, 准教授 (00387656)
山田 鋭夫 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (10024978)
西 洋 阪南大学, 経済学部, 准教授 (10509128)
遠山 弘徳 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (20202195)
木崎 翠 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (40260541)
磯谷 明徳 九州大学, 経済学研究院, 教授 (60168284)
原田 裕治 福山市立大学, 都市教養学部, 准教授 (70313971)
宇仁 宏幸 京都大学, 経済学研究科, 教授 (90268243)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東アジア経済統合 / 国際産業システム / 企業システム / 国際生産ショック / 進化的多様性 / アジア資本主義 / 中国経済 / 日本企業 |
Research Abstract |
研究初年度なので、各研究グループにおいて分析方法を明確化するとともに、分析に必要なデータを組織的に整備し、研究の基礎を構築した。 グループ(I)では、企業システムの多様性の進化プロセスに関する理論分析のための基礎作業を進めた。特に、東アジア経済統合のもとでの資本主義と企業システムの進化を分析するための理論を発展させた。 グループ(II)では、日本・中国・韓国における企業システムの多様性の実証研究を開始した。日本の企業システム・雇用システムと産業システムの多様性に関しては、自動車産業と電機産業を対象に分析を行った。中国に関しては、電機産業と自動車産業を対象に、上海、大連、東莞において調査を開始した。同時に、企業データの収集し分析した。韓国に関して、実証研究チームを組織した。 グループ(III)では、多国籍企業の生産立地と国際的バリューチェーンの分析フレームワークを明確化した。多国籍企業の投資行動と生産活動を、寡占的競争の理論を用いて分析した。また、日系多国籍企業の海外事業活動に関するデータを分析することによって、投資行動、収益性、企業戦略、販売パターン、部品調達パターンの相互関連を解明した。特に、中国に進出している日系多国籍企業のコーポレート・ガバナンスと生産活動を調査した。 グループ(IV)では、企業システムと国際産業システムの相互依存性を分析するために、国際産業連関分析を開始した。World Input-Output Database(WIOD)と アジア国際産業連関表を使用することによって、中国、韓国、ASEAN、日本を含むアジア地域の国際的産業システムの相互依存性の変化を分析している。。 以上の研究成果の一部を、植村博恭・宇仁宏幸・磯谷明徳・山田鋭夫『転換期のアジア資本主義』藤原書店、2014年として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には、12月にB.アマーブル教授(パリ第1大学)、H.ウィタカー教授(オークランド大学)を招き国際コンファレンスを開催し、研究を一層発展させることができた。また、研究成果として、植村博恭・宇仁宏幸・磯谷明徳・山田鋭夫編『転換期のアジア資本主義』藤原書店、2014年を出版することができた。 これによって、多様なアジア資本主義における国際生産システムと企業システムを分析するための基礎的フレームワークを確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
グループ(I)では、東アジア経済統合の動態を念頭において、異なる制度環境における企業システムの進化的多様性を実証分析するためのモデルを作成する。特に、企業群進化モデルに、イノベーションと制度模倣、異なる金融的制約を組み込んで、各国の企業システムの実証研究に積極的に活用し、実証研究を発展させる。 グループ(II)では、各国の企業システムの多様性に関する実証研究を進め、その成果を比較可能なフレームワークのもとに整理する。中国や韓国など海外の研究協力者との共同研究体制を発展させ、日本、中国、韓国、台湾の企業システムの実証分析を進める。さらに、その成果を整理し、多様性を生み出す要因を、調査結果の検討とデータ解析によって分析することで、東アジア地域における企業システムの比較制度分析を発展させる。 グループ(III)では、東アジア地域における多国籍企業のガバナンスに関するマイクロ・データを分析し、異なった属性を持ったグループを析出する。また、それに基づき投資行動・生産活動を分析する。特に、東アジア地域におけるコーポレート・ガバナンスの類型を析出する。また、金融システムの変化と企業の投資行動や生産活動が、東アジアの国際的な産業システムの動態に与える影響を分析する。 グループ(IV)では、企業システムと国際産業システムの相互依存性と動態を総合的に分析する。特に、国際産業連関分析と多国籍企業分析とを有機的に結びつける(これは、すでに山田、Uemura=Wangなどによって行われている)。東アジア地域における多国籍企業の活動によってもたらされる国際産業システムと企業システムの共進化過程を安定的で持続可能なものとするために、どのような長期的イノベーション政策と貿易・産業政策が必要か総合的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、多様なアジア資本主義における国際生産システムと企業システムに関する研究枠組みの構築に研究を集中させた。このため、実地調査は萌芽的で小規模なものにとどまった。また、実施した国際コンファレンスも、研究の枠組みと分析方法の確立を目的としたもので、小規模なものとなった。支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。 平成26年度においては、予算の次年度使用分を積極的に活用することによって、7月に大規模な国際コンファレンスを開催するとともに、中国、韓国に対する実地調査を発展させること予定している。 平成26年度には、国際共同研究をさらに発展させるために、7月19日及び20日に外国人研究者を招待し、国際コンファレンスEvolving Diversity and Interdependence of Capitalisms: EU-Asia Comparative Analysisを開催する。そのさい、共同研究者であるR. ボワイエ教授(パリ・米州研究所)、J.マジエ教授(パリ大学ノール)、宗磊准教授(北京大学)などを招聘する。 また、中国と韓国における日系多国籍企業の投資行動と生産活動に関する実地調査を行う。
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