2015 Fiscal Year Annual Research Report
出生時前後の洪水や干ばつが成人後の健康や経済に与える影響
Project/Area Number |
25380339
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
萬行 英二 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30421233)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎児 / 子供 / 健康 / 社会経済ステータス / インドネシア / 米生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画に従い研究を進めてきたが、洪水や干ばつの正確な発生場所の特定が予想外に困難であったため、計画を一部変更して、インドネシアのデータを使用し、胎児期および幼少時の州レベルの米生産と10歳までの子どもの健康状態の関係を分析した。 インドネシアにおいて、胎児のときの米生産の豊凶と10歳までの子供の体格(性別と月年齢ごとに標準化された身長と体重)との間に正相関があることを示し、この正相関が因果関係に基づくものである証拠を提示した。この研究において、胎児のときの米生産と子供の体格の正相関の程度は、出自家計の社会経済的ステータス(SES)によって大きく異なった。具体的には、父親の教育が低い農家家計では、父親の教育が高い農家家計と比較して、10歳までの子供の体格が、胎児のときの米生産の豊凶に左右される程度はより大きいという結果を得た。この結果は、農家家計においては、出自家計のSESが高い場合、胎児は、米不作が起こっても、栄養不足に晒されにくいが、低SES家計は米不作のような負のショックから胎児を守る術を持たず、胎児は栄養不足に陥りやすいという解釈と整合的である。 上述の、子供の体格と胎児期における米生産の豊凶の正相関が因果関係に基づくものであることを示すため、米生産量と①大人の体重、②米生産者価格、③妊婦検診の有無などとの関係も分析し、米生産から子供の体格への因果関係と整合的な結果を得た。
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