2014 Fiscal Year Research-status Report
学生と企業間の就業意識の差と雇用のミスマッチに関する定量的研究
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25380363
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
曽我 亘由 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (50346657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 圭一郎 松山大学, 経済学部, 准教授 (20453368)
岡本 隆 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (50314943)
東田 晋三 京都産業大学, 経営学部, 教授 (50388170)
熊谷 太郎 松山大学, 経済学部, 教授 (90379503)
北野 友士 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (90532614)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キャリア意識 / コンジョイント分析 / 選択実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の研究実績は次の2点に集約できる。まず第1点は、学生、および企業を対象とした就職に関する意識調査である。2014年度はこの調査を、「愛媛県中小企業家同友会」の会員企業を対象に実施した。その結果、学生は語学力や資格試験に代表される、いわゆる知識・スキル系の能力について不足していると考える傾向にあるが、企業はこれらの能力が学生に不足しているとは認識しておらず、「粘り強さ」、「主体性」、「コミュニケーション力」といった個人の資質に関して不足していると考える傾向にある。また、これらの能力要素はのうち、とりわけ「粘り強さ」、さらには「チームワーク力」については、学生はすでに身に付いていると考える傾向にあり、学生と企業の間で顕著な差が見受けられた。学生は、大学という狭いコミュニティの中で、気の合う者同士で過ごすことができ、このような環境においてのチームワーク力は身についていると考えられる。 第2点として、選択型実験では、社会人基礎力、資質、大学の成績、専門知識、給与の5つの属性にそれぞれ水準を設定し、属性間の重視度の高さを比較した。その結果、企業については社会人基礎力の中では「考え抜く力」を最も重視する結果となった。これは、その理由を企業規模に見いだすことができるだろう。今回の対象企業は企業規模が小さく、そのような企業は、チームで行動するよりも個人で重要な選択を行う機会が多く、個人の責任が重視されるため、自らが考え、前に踏み出す力を持つ人材を重視する可能性が高いという結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度においても、これまで実施してきた意識調査を年度初旬に実施し、加えて、2014年度は愛媛県中小企業家同友会の協力が得られたため、企業を対象とした意識調査を実施し、学生との比較が可能となり、とりわけ、学生が考える「内定の決め手」と対象企業が考える「内定の決め手」の差異、学生自身が「不足している能力」と企業が学生に不足していると考える能力の差異、学生自身が「十分備えていると考えている能力」と、企業が考える学生がすでに備えている能力の差異について分析することができ、どのような点で両者に差異が生じているかを明らかにできた。 これらの調査をふまえ、2014年度はより実践的な取り組みとして「教育サロン in 松山」を松山大学にて開催した。これは、「学生を伸ばすこと」を目的として、日頃から授業等で工夫を重ねている事例を紹介し、この話題提供を踏まえて、経歴、立場、専門分野、授業内容などが異なっている教員や職員がディスカッションを行うサロンである。今回は、梅光学院大学の樋口紀子学長および国際言語文化学部のアクティブラーニングチームによる「教養セミナー」での取り組みを紹介し、問題点の共有と授業改善についてワーク形式のディスカッションを行った。 以上の理由から、当該研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究の今後の推進方策は、以下の通りである。 1. 就職意識、キャリア意識に関する調査の継続 2. より実践的な取り組みの実施 3. 雇用のミスマッチを解消するための学生向け教材の開発 1. の意識調査については2015年度についても4月から5月初旬に実施予定である。また、企業を対象とした調査についても2014年度同様、愛媛県中小企業家同友会の協力のもと調査を実施予定である。2. については、2014年度に実施した企業向けの意識調査の結果にもどづき、2015年6月20日に愛媛県中小企業家同友会が共同求人事業を実施予定である。また、2015年6月13日には教育サロン in 松山を再度松山大学で実施予定であり、このような取り組みを通して学生自身のキャリア意識向上を促す。3. については、社会人基礎力をベースに調査結果にもとづいた学生向けの教材を開発予定である。これについては2015年度から2016年度にかけて目標にしている。
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Causes of Carryover |
研究代表者の繰越額(89,997円)については、2014年度はデータの入力件数が多く、人件費(謝金等)が当初予定より大幅にかかった。2015年度についてもほぼ同数の入力件数が予測されるため、89,997円を繰り越すこととした。分担者である北野友士の繰越額(185,929円)については、2014年度に開催の教育サロンおよび、予定していた研究会の日程が調整できず、いずれも出席できなかったため、その旅費を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者の繰越額については人件費に充当する計画である。2015年度も2014年度とほぼ同数のデータ入力件数であると予測されるため人件費として支出予定である。分担者の北野友士については、松山および名古屋での研究会の旅費としてその費用をあてる予定である。
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Research Products
(2 results)