2015 Fiscal Year Research-status Report
日本帝国圏における戦時農業政策の比較史的研究-社会関係に着目した地域分析-
Project/Area Number |
25380429
|
Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
坂根 嘉弘 広島修道大学, 商学部, 教授 (00183046)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 産業組合 / 国民貯蓄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本帝国圏の戦時農業政策、特に、農地政策、産業組合政策、食糧供出政策、貯蓄奨励政策について、各地域の社会関係の視点からその展開の相違を明らかにすることを研究課題としている。対象地域は、いわゆる内地(日本)と外地(朝鮮、台湾、樺太、南洋群島)である。 1、日本の農林省の戦時中の行政文書については、農地政策関係を除き、直接的な文書の残存が期待できないことは、これまでの本科研の調査で判明している。また、朝鮮総督府、台湾総督府、樺太庁、南洋庁の行政文書についても、直接的に関係する行政文書が期待できないことがこれまでの本科研の調査で判明している。2、当時の行政文書が期待できないと研究課題の分析は十分に遂行できない。したがって、次善策として、日本については、関連の府県庁行政文書、町村行政文書の収集に努める、外地については、関連の関係資料(刊本が中心)の収集に努める、という資料収集の方針で研究を推進した。3、日本の農林省、朝鮮総督府、台湾総督府、樺太庁、南洋庁の行政文書が十分に収集できないという状況を受けて、2015年度は、研究方針に工夫を加えた。戦時農業政策のうち、関連資料が比較的得られる課題について資料を集中的に集め、研究成果の早期公表に向けた作業を進めるということである。この方針にしたがい、2015年度は、(1)台湾における産業組合、農会、地主小作関係についての資料を収集し、分析を深めた、(2)日本の貯蓄奨励政策について、広島県の山野村(広島県立文書館)、大津野村・御野村(以上、福山市立鏡櫓文書館)の国民貯蓄組合関係の資料収集を行い、分析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の農林省、朝鮮総督府、台湾総督府、樺太庁、南洋庁の行政文書が期待できないという状況のなか、とりあえずは、台湾における産業組合、農会、地主小作関係についてと日本の貯蓄奨励政策についての関係資料を収集し、分析を進めた。最後段階の資料分析、論文作成の時間をかければ、ともに論文として公表できる段階に来ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度(最終年度)は以下の方針で臨む。 1、日本の戦時期貯蓄奨励政策について、論文を作成し、研究成果として公表する。論文は、在地の町村行政文書(広島県の山野村、大津野村・御野村。主に、山野村役場文書を使用し、大津野村・御野村の役場文書は補足的に使用する)を分析資料とする。 2、台湾における産業組合についての論文を作成し、研究成果として公表する。台湾の地主小作関係の分析は、社会関係の視点を加味する際に使用する。できれば、台湾産業組合の分析を学会で報告したい。 3、上記の研究を含め、各地域の社会関係の視点から各地域の経済発展の相違を論じた論文を作成し、それを英文で公表する。
|
Causes of Carryover |
1、旅費が抑制された形となったのは、収集した資料の読み込みに力を入れたため。 2、謝金については、信頼できる作業者を見つけられず、使用できなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となるため、主に、以下に充当することを予定している。1、論文作成のための補足的な資料収集調査、関連文献の購入。特に、日本の戦時期貯蓄奨励政策については、広島県を事例として取り上げるが、関連資料を他地域から収集するため旅費使用を予定している。2、研究成果を公表するための経費。特に、英文論文の作成と冊子にするための経費を予定している。
|