2014 Fiscal Year Research-status Report
企業とNPOの協働-歴史、計量、事例による実証分析-
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25380479
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
長谷川 直哉 法政大学, 人間環境学部, 教授 (50432159)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 協働 / NPO / 企業の社会的責任 / 共通価値の創造 / サステイナビリティ / ソーシャルビジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、企業とNPOとのパートナーシップの実態とその効果を検証することにある。研究方法は、NPO法人パートナーシップサポートセンターが2002年から実施する「パートナーシップ大賞」の応募事例約300件を対象とし、協働モデルの体系化、協働成果の社会的インパクト、社会的リターンの評価のあり方、共通価値創造と協働の関係性に関する実証分析を行っている。 第2年度目(平成26年度)は、協働事例のデータベースに基づき、協働実態の分析(①提携方式、②活動領域、③成果の社会的インパクト、③協働を通じた組織成長の実態、④ネットワーク形成、⑤社会的評価)を行った。M.ポーターが提唱した「共通価値」仮説が企業社会で関心を集めている。その本質は企業中心主義的な立場から社会的責任を捉えるのではなく、市民社会の目線に立って社会的課題を捉え、その課題に対するソリューションの提示を社会的責任と位置づけている。企業目線に立った「企業を取り巻く社会」という視点ではなく、市民社会の目線による「社会を構成するネットワークの一員としての企業」という視点から、これまでの企業目線では見えなかった社会的課題を見出し、その解決に向けて組織のリソースを活用することが求められている。 企業目線では見えなかった社会的課題を見つけ出すうえで、ソーシャルビジネスの担い手でもあるNPOの存在は欠かせない。NPOとの協働を通じて、社会的価値の創出を目指す企業が増えている。現代社会がパラダイム変革を迫られている中、NPOと企業のパートナーシップは、サステイナブル社会や新しい公共の実現に資する可能性を含んでいる。企業の社会的目的と経済的目的双方の達成を目指すCSR活動ならびに、企業の社会的活動を事業活動と統合させるNPOとのパートナーシップに関する実証研究を通じて、移転可能な協働モデルのあり方を模索したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPO法人パートナーシップサポートセンターが実施する「パートーナーシップ大賞」の応募事例11回分(2002~2012年度)約300事例のデータベースの整備が完了した。このデータベースを基に、①協働事例の継続・中断の実態調査、②協働事例の属性分析(活動分野、協働組織の実態等)、③協働による成果の社会的価値等に関する予備的な調査・分析を行った。また、2014年7月6~12日にCSR先進国であるイギリスにおける企業とNPOの協働事例の実態を把握するため、15機関(企業:7社、NPO:8法人)を訪問しヒアリング調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
企業とNPOの協働事例(国内300事例、海外約15事例)について、①「協働目的・戦略の策定」、②「パートナーの選定・評価」、③「協働事業の計画・実行」、④「成果の社会的価値」の分析を行う。これらの分析結果を踏まえ、(1)2002年以降のわが国における企業とNPOの協働の発展プロセスを明らかにし、(2)共通価値の創出に寄与する協働モデルのフレームワークを提示したい。
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Causes of Carryover |
研究用書籍の発注・購入を前年度末に行ったため、当該購入にかかわる会計処理が次年度に繰り越しとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該繰越分については、既に研究用書籍の購入に充当している。
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Remarks |
過去5年間(2010年4月1日~2015年3月31日)における主要な学術研究書または学術論文の紹介。
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Research Products
(4 results)