2014 Fiscal Year Research-status Report
オーガニゼーショナル・カウンセリングを活かした企業内相談システムに関する実証研究
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25380524
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
道谷 里英 文京学院大学, 経営学部, 准教授 (00566028)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産業カウンセリング / カウンセリング心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、25年度の文献研究結果を踏まえて、新たな文献の収集を行うとともに、複数企業へのインタビュー調査を実施した。研究実績は主に以下の3点である。 第一に、"counseling in the workplace"に関連する文献研究の結果、組織において働くカウンセリング心理学者や実践家(カウンセラー)には、個人開業や医療機関で働くカウンセラーとは異なる、多様な役割(トレーナー、ファシリテーター、コンサルタント等)が求められることが明らかとなった。このことから、組織内カウンセリングとは、一対一のカウンセリングのみを指すのではなく、人的資源管理、組織開発等の経営・組織的視点を持った活動も含むことが確認された。 第二に、職場におけるカウンセリングの実践には、オーガニゼーショナル・カウンセリングの実践に至るまでの複数の段階があり、組織の導入目的、そこで働くカウンセラーの専門性・経験等によってその段階が異なることが分かった。一方、企業インタビューから近年の法改正によるメンタルヘルスケアの強化は、カウンセリングがメンタルヘルスケアのための活動として狭く認識されることにもつながっていることが明らかとなり、「カウンセリング」という言葉のもつイメージが、活動範囲に影響することが示唆された。 第三に、実際にカウンセリング機能を導入している企業へのインタビュー調査から、カウンセリング活動が組織的に展開されている企業の傾向が明らかになりつつある。特に、同僚による支援制度を導入している企業においては、制度を設計するきっかけとして経営環境の大きな転機があることが共通していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外および日本の文献研究に時間を要したが、主要な文献のレビューを終了し、現在、インタビュー調査結果から質問紙調査の仮説を生成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度前半は、質問紙調査の仮説をより精緻化するための追加インタビューを実施する予定である。 さらに年度半ばには、質問紙調査を実施し、年度内に基礎集計を終える予定である。 なお年度内に、組織内カウンセリング機能の効果的な展開事例とその要因について、学会発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
出張に伴うインタビュー調査が行われず、東京近郊の調査だったため出張経費がかからなかったことが理由である。 また、資料収集等を行う人件費がかかっていないことも大きな要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、質問紙調査のための調査費用、統計分析ソフト等の購入が主な使用の予定である。
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