2015 Fiscal Year Research-status Report
ネットワークとQOLを中核とした地域マーケティングに関する研究枠組みの確立
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25380580
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
高橋 昭夫 明治大学, 商学部, 教授 (30226815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 康典 明治大学, 商学部, 教授 (90386417)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | QOL / 姉妹都市 / インターナル・マーケティング / 地域マーケティング / 価値共創 / IoT / 情報の共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、まず、QOLを姉妹都市の観点から考察を加えるという海外の研究者との共同研究の成果を共同論文として執筆し、学会誌へ投稿し採択され、いくつかの修正の上で、刊行された。 次に、国内研究では、地域マーケティングの価値共創プロセスにおけるインターナル・マーケティングの役割に関して検討を行った。インターナル・マーケティングは、価値共創プロセスを推進においては、その主体の役割を明確にし、権限委譲を実施し、動機付けを行うために不可欠であることが確認された。特に、主体の組織市民行動は価値共創プロセスを推進することが明らかとなった。 さらに、価値共創プロセスにおける情報の共有について、その様式と倫理的な問題点を考察した。具体的にいうと、1)IoT(Internet of Things)が価値共創において果たしている中核的な役割を文献およびヒアリング調査に基づき把握するとともに、2)IoTなどの情報コミュニケーション技術を通じてなされる広範囲の情報共有が、地域マーケティングの価値創造の可能性を高めるだけでなく、消費者の不満足も高めているという実態を定量データの統計解析をもとに確認した。消費者がどのような製品やサービスをどのように利用しているのかに関する情報は、地域マーケティングを展開するにあたって重要な資源となりうるが、その活用における環境づくり(今回のモデルでは「情報共有に関する事前告知の有無」と「共有先の信頼性」という要因が消費者の知覚する不快感に有意な影響を示した)を誤って設計してしまうと、かえって生み出される価値が減じられてしまう可能性があるという示唆が得られた。これらの研究結果は2回の学会報告を経て、学会誌への投稿を済ませており、現在審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査はほぼ予定どおり実施されており、学会誌への投稿も採択されているので。
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Strategy for Future Research Activity |
地域マーケティングに関わるステイクホルダーへのヒアリング調査などを行うことで、これまでに行ってきた定量的な調査への分析成果だけではカバーできていない定性的な部分の補充作業を行っていく。特に、消費者が地域マーケティングの過程の中に組み込まれる中で、どのような価値共創が生じているのかについては、少数の被験者に対する非構造的な調査を実施する必要があると思われる。また、消費者の視点だけでなく、地域行政の視点や地域マーケティングに関与する企業の視点を中心に検討を行う予定である。ただし、こうした作業は、地域マーケティングのプラットフォームとなる価値共創ネットワークの構成要素を確定することを意味するため、そのネットワーク構造の特定に向けた作業と同時並行で行っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
夏季休暇中に予定をしていた九州の地方自治体でのヒアリング調査が先方のスケジュールによりキャンセルになってしまったために旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、九州の地方自治体でのヒアリング調査を予定しているが、万が一のキャンセルに備えて、他の地域でのヒアリング調査も準備しておくことにする。
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