2014 Fiscal Year Research-status Report
医療におけるサービス品質の測定と品質マネジメントへのフィードバックモデルの研究
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25380630
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
福重 八恵 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (10581853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺田 孝幸 立命館大学, 経営学部, 教授 (10143132)
山本 眞由美 岐阜大学, 保健管理センター, 教授 (40313879)
前田 利之 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (70320041)
金 宰ウク 広島大学, 社会(科)学研究科, 講師 (50599264)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療サービス / 品質測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療分野におけるサービス品質の測定尺度と、測定結果のフィードバック及び改善のための方策について検討し、そのモデルを提示することである。平成26年度は、前年度の先行研究をふまえながら、癌患者の支援活動等を行っている民間団体の協力を得て、患者視点からの医療サービス品質評価について検討を実施した。 患者による医療サービス品質評価の最大のメリットは、従来行われてきた病院機能に対する医療提供者側の自己評価や、特定の専門家集団による第三者評価等によっては判断できない医療サービスの側面について、受益者としての実際的な視点が取り入れられることにある。病理学的知識を持たない患者にとって、専門的立場からの評価は不可能であったとしても、治癒感や術後経過等について、自身の体調に基づいた判断は可能である。当事者不在の医療や、技術・機器の進展によるブラックボックス化を防ぐといった観点からも、医療品質評価に患者視点を取り入れることが求められる。 他方、現在の医療機関では、ガイドラインに基づく標準治療がほぼ一律に行われることが少なくない。ガイドラインに基づく標準治療の確立により、地域や医療機関による医療品質の差は格段に小さくなった。しかし、患者の状況等は千差万別であり、ガイドラインに基づく標準治療が全ての患者に適合するものではない。また、現状では非標準治療であるものが、将来的には標準治療になること(あるいはその逆)も生じ得る。これらのことから、医療サービス品質の評価は、標準治療のみならず、非標準治療も念頭において行われるべきものと考えられる。 以上をふまえ、非標準治療が抱える様々な課題や問題などを考慮しながら、非標準治療にも適用可能な、患者視点による医療サービス品質評価について、患者とともに検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、研究計画として掲げた、医療分野における品質測定尺度の収集・分類・整理、患者満足を中心とした多角的な視点からの品質測定尺度の検討、品質マネジメントへのフィードバックに関する検討を、ほぼ予定通り実施できた。 平成26年度は、平成25年度に実施した先行研究の結果をもとに検討を進め、研究対象等をより具体的に絞り込んだ。非標準治療が抱える様々な課題や問題などを考慮しながら、非標準治療にも適用可能な、患者視点による医療サービス品質評価(測定方法)について検討するため、実際に非標準治療を受けた患者とともに議論を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上半期で(9月を目途に)、非標準治療を受けた患者に対するロングインタビューを完了し、10月・11月に、テキストマイニング等を用いた解析を実施する。また、必要に応じてアンケート調査等も行う。その後、12月・1月で研究成果をまとめ、2月・3月に研究成果の報告を行う予定である。 ただし、非標準治療を受けた患者の中には、再発・転移によって当該治療を選択した人も少なくないことから、患者に負担がかからないよう(特にロングインタビューの実施においては)最善の注意を払うこととする。
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Causes of Carryover |
非標準治療が抱える様々な課題や問題などを考慮しながら、非標準治療にも適用可能な、患者視点による医療サービス品質評価(測定方法)について検討するため、実際に非標準治療を受けた患者を研究調査の対象とした。 しかし、非標準治療を受けた経験のある患者は多くないことに加え、再発・転移等の事情によって当該治療を選択した患者は多数を占めている。こうした患者に負担がかからないよう、最善の注意を払いながら研究を進める必要があったことから、ロングインタビューについては次年度に持ち越したために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、平成27年度上半期に実施する、テキストマイニングのためのロングインタビューにおいて使用する。 また、平成27年度請求額については、アンケート調査やロングインタビュー等の解析及び検討会議の実施に伴う謝金、旅費、郵送費、印刷費に使用する。
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