2014 Fiscal Year Research-status Report
「引きこもり」の自立支援活動における相互行為の分析
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25380649
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
岩田 夏穂 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (70536656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西阪 仰 千葉大学, 文学部, 教授 (80208173)
早野 薫 お茶の水女子大学, 学内共同利用施設等, 講師 (20647143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 会話分析 / 相互行為 / カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
【成果報告・発表】データ収録において協力を仰いだ支援施設に分析結果を「就労支援カウンセリングにおける意思決定」「支援者による『確認要求』発話の利用」「悩み・心配事の提示の開始」「『自己卑下』発話の連鎖的特徴」というトピックにまとめ、報告書「就労支援の会話分析」(70ページ)を作成した。これは、協力機関に提出し、一定の評価を得た。また、社会言語科学会にて、その一部を成果として発表した。
【セミナーの開催】Dr.Tanya Stivers(カリフォルニア大学教授)を招聘し、4日間のConversation Analysis Seminarを開催した。日本人・外国人の会話分析の研究者・教育者 16名が参加し、データセッションおよびレクチャーを通して会話参加者の発話におけるaffiliationおよびalignmentに関する最新の知見を共有し、その有効性と課題について理解を深めた。
【データの分析】データ収集は終了しており、投稿論文執筆に向けて文字化資料の精緻化と、テーマの絞込みを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・70ページのボリュームの報告書を作成したこと、学会で成果を発表し、関係者からフィードバックを得られたこと、研究者を招聘し、セミナーを開催したことで、本研究に関連の深い概念について議論し、分析の方向性に関する示唆を得られたことから、当初の目的をおおむね達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)次のトピックについて、分析を進め、成果を学会発表および学術誌への投稿の形で報告する予定である。①利用者のトラブルの語りに見られる指向性とそれに対する支援者の応答を記述する②利用者が示した「自己卑下」発話とそれに対する支援者の反応に見られる連鎖の特徴を明らかにする③今年度のCAセミナーの成果(affiliationとalignmentに関する議論)を生かし、なんらかの抵抗(resistance)を示している応答形式のバリエーションと、その抵抗がどのように照射(project)されているのかを探る。これらのテーマに用いる文字化資料の精緻化を引き続き行う。 2)今年度に引き続き海外から会話分析・相互行為分析の研究において成果を挙げている研究者を招聘し、カウンセリング場面の分析をはじめ、日本の会話分析研究全般に資するセミナーを開催する。
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Causes of Carryover |
分担者のうち1名が事情により学会発表にまつわる出張を控えることになった。それにより使用しなかった額を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であるため、これまでのデータ分析の成果を学会発表・投稿の形で報告することに集中したい。そのための旅費、そして英文論文の場合、論文校正のための費用が発生する。また、今年度に引き続き、海外の研究者招聘によるセミナー開催を計画しているため、その旅費、滞在費として使用する予定である。
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