2014 Fiscal Year Research-status Report
日豪におけるエスニック・マイノリティ向け社会政策の社会学的比較研究
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25380695
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塩原 良和 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (80411693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多文化主義 / エスニシティ / 社会学 / 社会政策 / 移住者 / 先住民族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オーストラリアと日本を事例とした実証的研究によって得られたデータに基づき、現代先進諸国における移住者と先住民族の双方を包含する「エスニック・マイノリティ向け社会政策」分析の理論的枠組みの構築を試みる。 平成26年度には、以下のような研究を行った。平成27年1月から2月にかけて約10日間、オーストラリアにおける現地調査を実施した。現地調査では、国公立図書館での文書資料収集、現地研究者との研究交流、移民コミュニティリーダーへの聞き取りなどを実施した。諸般の事情でオーストラリア現地調査は予定より短くなったが、調査自体は充実したものになった。 いっぽう日本国内においては、川崎市および静岡県浜松市における外国人住民支援事業関係者からのレクチャー・ヒアリングによって情報を収集した。また移民・トランスナショナリズム研究に詳しい研究者を招聘して研究会を複数回開催することで、研究者間のネットワーキングを進めることができた。 これらの成果をもとに、国際学会での英語での報告やフランスの移民研究雑誌への投稿を含め、国内外の学会やシンポジウムでの報告、雑誌・編著書への寄稿などを積極的に行った。こうした研究業績は、来年度に予定している本研究の成果のまとめに向けて問題意識を整理し、理論的な精緻化を行うための準備作業として位置づけることができる。以上のように、今年度は若干の予定変更はあったが、おおむね順調に研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度のオーストラリア現地調査は諸般の事情で短縮して実施したが、必要最低限の成果を得ることはできた。そのぶん国内においては積極的に調査と研究交流を行った。その結果、調査データの整理や研究の問題意識、理論的枠組みの精緻化を進めることができた。また今年度は、当初の予定以上に研究の途中経過をさまざまな場で発表、公刊することができ、来年度に実施する研究の総まとめに向けた準備を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
助成最終年度である平成27年度は、これまでの研究成果を総合した単著の執筆にとりかかる。既に企画案を作成して出版社との交渉を始めている。また、そのためのフォローアップ調査を日本およびオーストラリアで実施する予定である。
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