2013 Fiscal Year Research-status Report
介護老人保健施設における福祉用具貸与に向けた基本動作能力別の福祉用具の効果検証
Project/Area Number |
25380742
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
臼倉 京子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90433169)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 基本動作能力 / 福祉用具 / 介護 / 施設 / 貸与 / 車いす / 移乗 / 排泄 |
Research Abstract |
1.介護老人保健施設における福祉用具使用の現状と課題 介護施設における福祉用具に関連する先行研究を検索した.検索には,医中誌データベースを用い,KeyWordは"福祉用具"と"介護"と"施設",260件を検索した.またPubMedを用い,KeyWordは,"assistive technology elderly" "nursing care"とし,10件を検索した.さらに関連書籍20件を加え,最終的に計290件を対象とした.これらを通し,施設の介護の現状として,介護者の腰痛,個人の能力に応じた福祉用具使用が困難であることが読み取れた.課題としては,介護者の腰痛予防対策としての福祉用具が,対象者の自立支援には能力に応じた福祉用具が必要であると推察された.導入の必要性の高いADL項目と福祉用具は,移動では車いす,排泄と入浴では移乗用具であることが幾つかの文献で共通に示されていた.さらに,施設における福祉用具貸与の必要性が高いこと,本研究の参考となるモデル事業もみられた. 2. 介護老人保健施設における基本動作能力別の福祉用具の効果に関する事前研究 A介護老人保健施設入所中の高齢者10名を対象に,基本動作能力別の福祉用具の分類を基に車いす,移乗,排泄の福祉用具の選定を行った.研究は,2週間のベースライン,3ヶ月の福祉用具の使用,2週間のフォローアップの流れとした.その間1週ごとに,車いす指標:痛み,座り心地,移動時間,使用前後の座圧測定,食事時間・自立度等,排泄指標:時間・自立度・手出し回数,移乗指標:時間・自立度・手出し回数を評価し,現在データを分析中である.事前研究より,課題(モニタリング頻度,介護職員への福祉用具使用方法の伝達,対象者の退所なども踏まえた研究期間の検討,評価指標と頻度の検討等)が明らかとなり,平成26年度の効果検証研究に改善策を生かしていく.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.介護老人保健施設における福祉用具使用の現状と課題 当初の計画時の研究方法とは異なるが,介護老人保健施設における福祉用具使用の現状と課題,導入の必要性の高い福祉用具を明らかにすることができ,また平成26年度の研究に参考となるモデル事業についても報告を得ることができた. 2. 介護老人保健施設における基本動作能力別の福祉用具の効果に関する事前研究 基本動作能力別の福祉用具の事前研究では,研究期間が当初計画より長引いたが,計画通りデータを収集でき,現在分析中である.また平成26年度の研究に向けた課題も得られた. これらより,25年度の計画はおおむね順調とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの高齢者施設における福祉用具導入モデル事業(老人保健推進事業報告書等)により,概ね施設における福祉用具の効果は示唆され,福祉用具の導入の流れ,福祉用具貸与の必要性が述べられ,今後の研究方法を検討する上で参考となる報告も得られた.本研究の目的も,施設における福祉用具の効果を示すことであるが,本研究では対象者の基本動作能力別の福祉用具の分類図を基に選定した福祉用具の効果を明らにすることが異なる点である.その上で,基本動作能力別の福祉用具の分類は,介護保険の目的にもある,対象者の能力に応じた,自立支援に役立つ一つのツール(目安を示す分類)いうことも,平成26年度は検証していきたい.また事前研究で得られた課題については,モニタリングの頻度の検討(月1回等),介護職員への福祉用具使用の伝達方法の検討(効率の良い研修会やカンファレンスの運営等),対象者の退所や健康状態の急変なども踏まえた研究期間とスムーズな研究開始の検討(対象者選定条件の明示と福祉用具試用期間の設定),評価指標と頻度の検討(特に車いすシーティングにおいてはその目的を明確した上での評価指標,モニタリングに合わせた評価頻度等)を行い,平成26年度は研究対象施設を広げ,研究を推進して行く方向である. 最終的(平成27年度)には,介護施設においても対象者の能力に応じた福祉用具が必要であるということを裏づけ,貸与の方向性とその目安となる基本動作能力別の福祉用具の分類を提言したい.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度計画では,1.介護老人保健施設における福祉用具使用の現状と課題については,全国調査を行う予定であったが,先行研究により類似した研究結果が示されていることより、研究目的は達成されたと判断し,調査は実施しなかった.そのため,調査にかかわる費用が未使用額として生じた. 平成26年度は,研究対象を広げる予定で,必要な福祉用具のレンタル代,購入代,また福祉用具研修会などの費用にこれらの未使用額を使用する計画である.
|