2013 Fiscal Year Research-status Report
日本における「里親支援体制の近未来像」の構築~里親・施設・行政の有機的連携~
Project/Area Number |
25380749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
伊藤 嘉余子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (10389702)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 里親 / 里親支援 / 児童相談所 / 里親支援機関 |
Research Abstract |
研究1年目である2013年度は、近畿圏内で登録している里親を対象に、里親支援に関するアンケート調査およびインタビュー調査を実施した(回収数319件、回収率54.5%)。 まず、アンケート調査結果から「里親が今後もっと必要だと考える里親支援」として(1)里親家庭への養育支援の充実(里子の学習支援、里親の専門性向上につながる研修、レスパイトケアを利用しやすくする工夫など)、(2)児童相談所の里親支援機能強化、(3)20歳までの措置延長やアフターケアの充実を中心とした支援、(4)養子縁組後の支援や里親登録手続きの簡素化・迅速化といった里親制度そのものの改善、の4点が挙げられた。 アンケート調査協力者の中からインタビュー協力者を募り、インタビュー調査を実施し、質的分析を行った。その結果、里親の成熟プロセスに影響を与える要素として(1)児童相談所等の専門機関との関わり、(2)里親同士の関わり、(3)里親の家族との関わり、(4)地域との関わり、の4つがあることが確認されるとともに、今後の改善や充実が必要な点として、以下の3点が示唆された。(1)里親に対する受容・共感的な関わりと具体的な承認・評価、(2)里親にとって複数の理解者・支援者の存在、(3)里子の子育てにおける専門的かつ具体的な支援。 以上の結果を踏まえ、来年度は、里親支援機関や児童相談所が実際に行っている里親支援の内容や実施の工夫等について明らかにするとともに、里親支援機関等が考える「里親に必要なコンピテンシー」とそれを育てたり支えたりするために必要な方策等について検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた「里親を対象とした調査」を予定どおり実施することができた。また、アンケート調査に加えてインタビュー調査も実施することができ、想定していた以上の情報・データを収集することができた。 調査協力者からの反応も豊富で、今後も複数の児童相談所や里親支援機関と連携しながら調査研究を進めていくことができる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果を踏まえ、来年度以上は、里親支援機関や児童相談所が実際に行っている里親支援の内容や実施の工夫等について明らかにするとともに、里親支援機関等が考える「里親に必要なコンピテンシー」とそれを育てたり支えたりするために必要な方策等について検証する予定である。 さらに、里親支援の先進国であるカナダに渡り、里親養育を支えるコミュニティづくりが実際にどのように進められているかを視察・調査し、日本における導入・援用の可能性について分析・検証を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数が6円、残ってしまったため。 次年度の物品費と合算して使用する。
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