2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380821
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
村田 久 環太平洋大学, 教育学部, 准教授 (80350445)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的養護 / ニーズ変化 |
Research Abstract |
本研究は、社会的養護の再編に向けて、社会的養護のニーズ変化と現状を実証的に明らかにすすることを目的としている。平成25年度は、行政統計を用いた入所ニーズの変化に関する分析を行った。 厚生労働省「社会福祉施設等調査」を用いて児童養護施設の在所率の時系列分析を行った。昭和50年代から平成5年頃までは在所率は年少人口に連動する形で推移していたが、平成5年以降は年少人口の減少にもかかわらず、在所率が増加するデカップリングの状況が出現していることが明らかとなった。デカップリングの要因としては、親の死別等による児童が社会的養護の主たる対象であったものが、児童虐待を受けた児童を対象とするものに変化し、児童養護施設における在所率増加に大きな影響を与えていることが考えられる。児童の養護について指導上留意している点(厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査」)について分析を行った。養護施設児では、「しつけ」が45.5%から38.3%に減少し、「心の安定」が55.8%から66.9%、「家族との関係」が39.0%から53.7%に増加しているのが特徴的であった。児童養護施設が‘子どもが生活する場’から‘虐待の傷を癒し’‘家族の元へ復帰を目指す場’となっていることが示されている。虐待種類のデータ(厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査」)を双対尺度法により分析した。分析の結果、情緒障害児は心理的虐待、里親及び乳児院児はネグレクト、養護施設児は身体的虐待、自立支援児は性的虐待で特徴づけられることが明らかとなった これらの分析により、社会的養護の今日的動向を確認し、社会的養護施設の変化過程、ニーズの移り変わりを統計的に把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、行政統計を用いた入所ニーズの変化に関する分析を予定していた。 分析に用いる行政統計は、厚生労働省「福祉行政報告例」、「社会福祉等調査報告」、「児童養護施設入所児童等調査」からの収集データを想定していた。平成25年度は、研究計画通りに、入所ニーズの変化を析出することができた。また、先行研究の文献研究も実施し、資料を適切に収集し、検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、量的調査の準備を進めて行く。10~15程度の施設長にヒアリング調査を行い、ヒアリング結果を参照しながら量的調査のための質問紙調査を設計する。本研究では、構造方程式モデルの手法を用いることにより、施設が抱える課題の構造的把握を因果モデルの形で検討していく。 対象施設は全国の社会的養護施設を調査対象とし、乳児院がn=117、児童養護施設がn=558、情緒障害児短期治療施設がn=27、児童自立支援施設がn=58で、合計760の施設の全数調査を行う。里親委託に関しては別途デルファイ調査などを実施し、補完的調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定で平成25年2月にヒアリング調査用として購入予定としていたPCを品切れのため、購入予定を次年度に持越ししたため。 次年度にPCが入荷され次第購入し、ヒアリング調査を実施していく。
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