2013 Fiscal Year Research-status Report
都市生活環境尺度による都市度の定量化に関する心理学的研究
Project/Area Number |
25380846
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐伯 大輔 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (60464591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 弦太 立教大学, 現代心理学部, 助教 (80636176)
池上 知子 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (90191866)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 集合現象 / 都市化 / 主観的幸福 / 価値判断 / 関係流動性 / 自尊感情 |
Research Abstract |
都市生活者の心理学的特徴を把握し、彼らが直面する心理学的問題を明らかにするために、生活環境の「都市度」を測定可能な「都市生活環境尺度」の開発を試みた。 調査1では、大学生215名を対象に、独自に作成した「都市生活環境尺度」と心理尺度(関係流動性、自尊感情、主観的幸福感)を用いて調査を実施した。その結果、生活環境の都市度を構成する因子として、「交通の利便性」、「施設の充実」、「生活の利便性」等、8因子が抽出された。これらの因子の一部は自尊感情や主観的幸福感と有意に関係したが、関係流動性とは有意な関係がみられなかった。 調査2では、インターネットを利用した調査方法により、日本全国の成人男女1,000名(20歳~69歳)を対象に、再度、都市生活環境尺度の構成を行い、この尺度と心理尺度との関係を調べた。その結果、「施設の充実」、「生活の利便性」、「生活の不快さ」、「自然の乏しさ」、「交通の利便性」の5因子が抽出された。これらの因子は、それぞれ人口密度と有意な相関関係を示したことから、都市度の指標として妥当と考えられた。さらに、都市度と心理尺度との関係を明らかにするために重回帰分析を行った結果、「施設の充実」は関係流動性と自尊感情に正の影響を、「生活の利便性」は関係流動性と自尊感情と主観的幸福感に正の影響を、「交通の利便性」は関係流動性に正の影響を、「生活の不快さ」は自尊感情に負の影響を与えることが明らかになった。 調査3では、経済状態、年収、学歴、階層帰属意識に関するフェイス項目を加え、さらに「都市生活環境尺度」にも、物価や雇用機会等、経済状況に関する項目を付加し、調査2と同様の方法で実施した。その結果、「都市生活環境尺度」については、調査2と同様の因子と「雇用機会の豊富さ」の因子が新たに抽出された。都市生活環境尺度と他の心理尺度との関係については分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の1つは、「都市生活環境尺度」を開発し、生活環境の都市度とそこに住む人々の心理特性の関係を明らかにすることであるが、「都市生活環境尺度」の開発については順調に進捗している。調査3では、経済状態に関する項目を追加したが、それによって心理尺度との関係がどのように変化したかを明らかにし、この項目追加の妥当性を検討する必要がある。「都市生活環境尺度」によって測定される都市度と他の心理尺度との関係については、都市度と自尊感情や主観的幸福感の間にいくつかの重要な結果が得られつつある状況である。 本研究の目的の2つめとして、都市に存在する刺激や状況についての主観的価値を測定する「都市生活環境の価値尺度」の開発があるが、これについてはまだ着手していない。
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Strategy for Future Research Activity |
「都市生活環境尺度」については、調査3で行った尺度項目の追加が妥当であるかどうかを検討し、この尺度を完成させることが、今後の研究で予定されている。さらに、完成版の「都市生活環境尺度」と種々の心理尺度の間の関係を調べることで、都市度が生活者の心理的側面にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを予定している。 都市に存在する刺激や状況についての主観的価値を測定する「都市生活環境の価値尺度」の開発についてはまだなされていないため、「都市生活環境尺度」と同様の方法で尺度構成を行い、都市生活環境が居住者にもたらす心理的利益と不利益について検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が少額となり、年度内の有効利用が不可能となった。 次年度使用額分については、次年度に配分されている予算の一部として使用する。
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Research Products
(1 results)