2014 Fiscal Year Research-status Report
認知行動療法を活用した教員と保護者の心の教育力向上のための実践的研究
Project/Area Number |
25380922
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
伊藤 美佳 山梨大学, 総合研究部, 講師 (30402019)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 崇 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (40350821)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | メンタルヘルス支援 / 認知行動療法 / 教授法 / 心理教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,メンタル不全等を抱えた児童生徒の対応にあたる教職員のメンタルヘルス支援に関する教育実践力の向上にある。 平成26年度は昨年度アンケート調査結果をもとに心の健康プログラム内容として「感情の起伏の激しさ,不機嫌,キレやすいなどの情緒不安定」をターゲットに研修会を企画運営した。具体的な研修内容は,1.心理学的な見立てと実践に関する講演会,2.生徒指導の諸問題で経験した事例(架空事例)に関するグループワーク,3.認知行動療法(児童生徒の示す感情の波とその対応)に関する講演会,4.事例をワークシートで考える(アセスメントや支援計画法教授)であった。研修会参加者延べ総数は215名であった。 本研究計画には研修会企画運営に関するアンケート調査も含めており,今回の研修会参加者を対象にアンケート調査を行った。教職員らの希望する研修会としては, 1.必要性を感じているテーマ設定,2.物理的,心理的なハードルの低さ,3.資料や話題が魅力的,という要因が揃った研修が求められていることが示唆された。このことから学校現場で教師らが日常的に困っていること,問題に感じていることを捉えていけるシステム構築が望ましいと考えられた。また,研修マネジメントにおいては日時と場所,広報を工夫することで物理的,心理的なハードルを下げることが重要といえる。心理的なハードルに関しては講師要因でもあるので,コミュニケーション能力に優れた講師を選定するだけでなく,教職員にとって関心のある話題を提供できるスキルのある講師を選ぶことも重要といえる。 また,次年度保護者への啓発活動としてリーフレット配布を計画にあげており保護者と学校が連携のもと児童のメンタル支援に取り組むべく研究協力先を開拓し選定するに至った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現職小中学校教職員を対象に教職員のメンタルヘルス支援に向けた実践力向上を目的に,感情の起伏の激しさ,不機嫌,キレやすいなどの情緒不安定な児童生徒への対応に関する研修会を企画運営できた。本研修会プログラムは,現職教員らが教育現場で対応に苦慮している内容に関する昨年度アンケート調査結果を反映させた。学校教育現場で対応に活かせるようグループワーク,ワークシートの活用などいくつかの実施法を取り入れ運営した。またより効果的な研修会運営に関するアンケート調査を行い,結果を今後の研修会運営に活かす予定である。これらはいずれも研究計画通りに遂行できた。 心の健康プログラム内容としては,計画立案の際,教育現場において対応に苦慮している児童生徒のメンタル不全の諸問題について,不安や抑うつ状態を視野に入れていたが,感情の起伏の激しさ等がより深刻なテーマとして調査結果からうかがえたため,心の健康プログラム内容の修正が生じた点は昨年度同様である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究における成果目標にあげている教職員のメンタルヘルス支援実践力向上につながる研修会企画運営を進める。また研究協力校(小学校)に代表者も出向き教職員の実践をフォローしながら,さらにより効果的なプログラム開発に向けた検討を行う。加えて保護者を対象に児童のメンタル支援に向けた啓発活動を計画していく。これらの研究成果を日本発達心理学会で発表予定である。
|
Research Products
(1 results)