Research Abstract |
(1)企業ニーズの聴取:企業の産業医,看護職,人事担当者から「若年者のメンタルヘルス不調・職場不適応事例の検討から,就業前に学んでおくべきこと,身につけておくべきことを明確にする」をテーマとして検討会を実施した(2014年1月23日,2月20日).その結果,若年者のメンタルヘルス不調の背景として,コミュニケーションの問題,葛藤回避,周囲からの評価に過敏,相談しない,自分に起こっている問題を言語化できない等が挙げられ,対策として働く意義・自己理解を深める,負荷をかけた大学キャリア教育,OJT型の教育等の必要性が指摘された。入社後すぐの不調や離職は企業での教育では実効性がなく,就労前の段階での教育が重要であることが確認できた.さらに,人格の未熟やコミュニケーションの問題を改善できる教育プログラムの必要性も指摘された. (2)事前調査のデータ解析:大阪府下A大学のキャリア科目を受講する学部3年生35名(男1名,女34名)を対象として調査を実施(2013年11月<T1>,2014年1月<T2>)した.調査内容はプロアクティブコーピング(PCI),尾関らのコーピング尺度,社会人基礎力,学生用ソーシャルサポート尺度,一般性セルフエフィカシー尺度(GSES),K6,属性(年齢等).PCIと各尺度との関係の検討のため各尺度項目に対してPearsonの積率相関係数を算出したところ,社会人基礎力と正の相関(T1,r=0.41),問題解決型コーピングと正の相関(T2,r=0.43),情動焦点型コーピングと正の相関(T1,r=0.35),友人知人サポートと正の相関(T1・T2,r=0.49)がみられた.CPIとサポート尺度との相関については概念的に一致した結果であった.プロアクティブコーピング背景要因の検討のためPCI高低群で属性比較したが,有意差はなかった.
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