2013 Fiscal Year Research-status Report
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25380968
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
瀬藤 乃理子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (70273795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 幸弘 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00368416)
黒川 雅代子 龍谷大学短期大学部, 社会福祉学科, 准教授 (30321045)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共感性疲労 / 支援者 / ストレスケア / 遺族支援 |
Research Abstract |
本年度は、1)共感性疲労に関する質問紙の作成、2)作成した質問紙による予備調査、3)共感性疲労などの職業性ストレスに関する文献収集とレビュー、4)共感性疲労の予防プログラムの素案作り、を実施した。 まず、共感性疲労尺度(Pro-QOL)、K6、簡易悲嘆尺度(BGQ)などをもとに、共感性疲労やバーンアウトなど、支援によるストレスを測定する調査用紙を作成した。そしてこれをもとに、被災地支援者143名に予備調査を実施した。この調査では、支援者の疲労は、共感性疲労よりも、自分自身の震災による喪失体験や、ひとへの信頼感の低下、睡眠の問題などのほうが大きく影響していた。 対人支援による職業性ストレスに関する文献レビューにおいては、共感性疲労に関する先行研究は少なく、Maslach Burnout Inventory(MBI)やGHQ(General Health Questionnaireの)を用いた研究が多くを占めていた。 マインドフルネスをベースとした共感性疲労の予防プログラムについては、先行実施例を参考に素案を作成し、健康な支援者を中心に計6回試行した。2~3時間のプログラムを対象に合わせて時間設定し、①共感性疲労について ②マインドフルネスの考え方とその効果、③実際の体験、の3つから構成した。また、実際の体験を行う際には、視覚的に「セルフモニタリング」ができるように工夫し、参加者自身が自分自身の心の動きやマインドフルネスの技法を行ったあとの変化がわかりやすくなるように配慮した。参加者の多くから、健康な支援者においても、自身のセルフケア対策として意味があるという評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共感性疲労の調査とプログラム開発を2本の柱に、この1年は実際の調査用紙の作成と予備調査、プログラムの素案作りに取り組んだ。その両者ともおおむね順調に進んでいる。しかし、調査用紙の項目に変更すべき点がみつかったため、次年度の本調査では修正を加えていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
共感性疲労の調査においては、文献レビューを加味し、共感性疲労の尺度(Pro-QOL)と他のバーンアウトや健康状態を測定する尺度(MBIやGHQ)との相関も見ながら、調査を継続したいと考えている。また、調査対象もフィールドを開拓し、終末期医療や遺族支援を行う支援者を中心に実施していきたいと考えている。 また、プログラムについては、内容や時間配分などをさらに検討し、研修会後の参加者アンケートをもとに、より効果的なプログラム作りへと改善を加えたい。特に、終末期医療や遺族の支援者は、疲労が蓄積しやすい環境の中で、限られた時間の中でプログラムへの参加を促すことになるため、海外での取り組みも参考にし、支援者の受け入れやすさを高め、安全性の高いプログラムにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に本調査やプログラムの開催を予定しているため、費用の一部を次年度に繰り越した。 まず遺族や終末期の支援者に対して、共感性疲労・職業性ストレスに関する調査を継続する。その調査の論文化を考えており、文献検索・資料収集・英文校正費用などが必要である。また、支援者の実態に即した調査が行えるように、調査フィールドを広げたい。そのための依頼や打ち合わせ費用が必要となる。 前年度に試行した共感性疲労の予防プログラムを実際にいくつかの場所で施行する予定である。そのため、会場費やスタッフへの謝金などの開催費用が必要となる。また、現在試行中のプログラムの質を高め、改善点を洗い出すため、海外での取り組みの視察も考えている。 これらのことを遂行するために、次年度交付予定額とともに適正に使用したい。
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Research Products
(12 results)