2014 Fiscal Year Research-status Report
専門職(教員・医師)養成におけるサービス・ラーニングの教育効果に関する実証研究
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25381033
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
倉本 哲男 愛知教育大学, 教育実践研究科, 教授 (30404114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉本 クリスティーン 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20510126)
田中 豊治 西九州大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60183464) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Service-Learning / Action Research / 質的分析 / 医師養成 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
医師養成系としてニカラグアSLが挙げられる。これはH20年度より開始した九州大学・医学教育学の海外派遣SLカリキュラム(単位認定)である。熱帯医療の専門科目を学習し、ニカラグアで数多くの患者を支援する国際的なService-Learningである。2009年以来,米国を拠点とするNPO法人“Corner of Love”と共に,日本からの医学生や他のボランティアを連れて,ニカラグアにおいて毎年ボランティア活動を実施してきた。Service-Learningの体験を通じて,学生は,移動クリニックにおいて,米国の医療従事者と共に様々な活動を展開している。本科研の研究実績の概要として、2014年3月(12人)、2015年3月(6人)の引率を行い、学生の学びの振り返り(Reflection)を分析した。
その教育効果について以下の①②③で成果を発信している。そのプロジェクトの背景,その実施に関わる様々な手順,現場での活動例を通して,その成果と今後の課題を紹介した。①島根大学・講演「ニカラグアにおけるサービスラーニング」(学生と教職員対象)(2014.7/25)。②九州大学・講演「国際医学の事例‐Service-Learning in Nicaragua-」(学生と教職員対象)(2014.10/30)。③The Iafor North American Conference on Education, 2014 @ RI, USA (2014.9/26)。
特に③においては、International Service-Learning in Nicaragua for Japanese Medical Studentsを発表し、学生の学びを質的に分析している。このことから、医療活動の意味を再考察する姿勢が窺えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
の教育効果を量的/質的に検証し、課題抽出のためのデータ収集をする。得られたデータを解析し課題を抽出する。その課題に対してFDや国内シンポジウムを開催し、モデルカリキュラムの具体的改善の方向性を多面的に議論する。 その観点から、前述の国際学会にて”International Service-Learning in Nicaragua for Japanese Medical Students”を共同発表し、「学生のNeeds」「国際・地域社会のNeeds」「専門教科のNeeds」の3要素に鑑み、国内外の理論や先進事例を参考にして、SLモデルカリキュラムの基本的アイデアを確固とした(再確認した)点が、これまでの主たる成果である。 また、既述の“Corner of Love”からは、特別な感謝状を贈られており、今後も共に,日本からの医学生や他のボランティアを連れて、パートナーとして長期的に活動することを確認し合っている。 Service-Leaningは、我国の大学教育においても徐々に浸透し、GPに採択された事例等が散見される。しかし、一般には大学生のボランティア推進としての特色が強く、教師養成・医師養成等の明確な専門職養成に直結したSL実践は、未だ少ないと言えよう。これまでの本プロジェクトでは、我国のSL実践を明確な医師の専門職養成に特化し、その専門教科の教育目標とカリキュラム内容・方法を統合することに大きな特徴がある。また、学生の学びについて、心理学的な質的・量的マルチメソッドによって評価・実証することに学術的特徴があり、以上の点を現在まで(2013年と2014年)の到達点と総括している。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研は、「専門職(教員・医師)養成におけるサービス・ラーニングの教育効果に関する実証研究」であり、医師養成については、一定の成果を上げていると考えている。しかし、教員養成については、研究総括者が、申請当時の勤務大学(佐賀大学)から愛知教育大学・教職大学院へ異動したことから、研究条件に変更点があり、思うような成果を上げることができなかった。しかし、本学・教職大学院をService-Learningの視点から再考察するとき、本学にはスクールサポーターシステムがあり、これは本科研にとって有効活用が可能となり、研究の進捗に全くのマイナスはないものと言える。 このシステムは、学生がボランティアで週に2回(終日)学校を訪問し、学校のニーズに応じて対応するものであり、概して、大学で学んだ事柄(授業づくり・学級づくり)を活かしたボランティア(本研究ではこれをサービスと概念規定している)が実施されている。よって、本科研の最終年度では、専門職(教員・医師)養成において、SLの教育効果に関して量的・質的な混合メソッドによって、主として以下を実証する。 1.学生の「社会貢献意識」を培うこと。2.学生自身の「自尊感情」(Self-Esteem)を高めること。3.学生に関連教科の有益性・実用性を実感させ、大学での学習意欲を高めること。4.学生が将来の専門職キャリアのビジョンを自分なりに明確化できること。 以上のことに、ニカラグア患者を支援するService-Learningによって日本からの医学生や他のボランティア(サービス)を加えることにより、本年度は、本科研の最終年度であり、専門職(教員・医師)養成におけるサービス・ラーニングの教育効果に関する実証研究の集大成としたい。
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Causes of Carryover |
20,162円の繰越金が生じている。
海外出張が、数回に及び、為替レートの変動により、未使用額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの研究成果を発表するために、国内のカリキュラム学会の参加旅費、国際学会の参加費用、及び海外への調査などに使用する。
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Research Products
(8 results)