2014 Fiscal Year Research-status Report
戦時下におけるキリスト教学校教育の動態―統制に対する対応の多様性を中心に―
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25381041
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
榑松 かほる 桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (90112656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 宏 東海大学, 課程資格教育センター, 准教授 (10350323)
影山 礼子 関東学院大学, 法学部, 教授 (20245286)
辻 直人 北陸学院大学, 人間総合学部(幼児児童教育学科), 准教授 (70523679)
高瀬 幸恵 立教女学院短期大学, 幼児教育科, 准教授 (30461792)
柴沼 真 大阪成蹊大学, マネジメント学部, 准教授 (40388674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キリスト教学校教育 / 国家統制 / 戦時下教育 / 統制への対応 / 教派 / 神学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は各自の個別研究を進め、2回の研究会(9月10日、桜美林大学於、3月22日―23日、伊豆桜美林クラブ於)を持ち、互いの研究成果を報告して意見交換をして研究を共有する方向で進めた。 以下のような研究の進展がみられた。立教女学院を取り上げている高瀬幸恵は、戦時下の立教女学院所蔵の原文書を活用して、寄付行為の変更に関する英文書との違い、総合視察を受けた前と後の学校の礼拝や英語教育の違いを明らかにし、さらに、他校の総合視察の状況などにも言及する研究を展開し、研究の一部を学会で報告した。明治学院を取り上げている辻直人は「東亜科」の設置過程、実態を明らかにし、また当時の宣教師たちの反応の違いに着目して研究を進め、海外、国内での学会、研究会で報告した。なお、研究の過程で、宣教師研究の重要性を確認できた。同志社高等女学部担当の柴沼真は、戦時下教頭を罷免された末光信三を中心にしながら、同校の戦時下の国家統制に対する対応を明らかにした。なお、戦時下も学生数が減少しなかった実態も明らかにし、国家統制と学校に対する社会的評価が異なっていることも明らかにした。関東学院を担当している影山礼子はこれまで学内においてもほとんど知られていない戦時下の原文書を発掘し、御真影奉戴の事情や学校での管理などに関する状況を明らかにした。外地の学校である崇貞学園を取り上げている榑松かほるは、崇貞学園の中国人生徒を対象とした留学生制度とその実態及び体育館建設への多額な資金援助など、戦時下の国策によって発展した事例としての学校の状況を明らかにした。プロテスタント系神学校を取り上げている大島宏は、聖公会の神学校の状況、日本基督教団の発足にともない、東部・西部神学校に統合されていく過程を教団の当時の資料を活用して探究した。 研究会では個別研究をつなげる全体的な状況を見ていく必要があるとの指摘があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実に個別研究は進展しており、研究の一部を所属学会や関係機関で報告するなど研究は当初の計画通り順調に進展している。各自は責任を持って研究をすすめており、研究会では個別の報告、質疑応答に予定以上の時間がかかるほど充実した報告であり、研究の進展上の問題は、資料収集などの資金がやや足りない以外特にない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度になり、各自の研究をまとめて1書として出版する方向で進める。その際、単に個別研究を並置するだけの構成ではなく、全体傾向を示し、個別研究の連関、位置付けなどの詰めの部分を精緻していく必要がある。そのため、次年度は場合によっては3回研究会を持ち、緊密な意見交換を行い、統一のとれた一つの研究としてまとめることに力を注ぎたい。すでに前回の研究会で、全体傾向に関する研究を進めて次回報告することが確認されている。
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Causes of Carryover |
助成金の一部が積み残しされたのは、計画している地方への調査が大学の所用のため実施できなかったためと、次年度まとめの年度となるので、研究会開催が増える可能性や追加の研究が必要となることを見込んで、次年度も有意義な研究活動ができるためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各自の個別研究を推進してそれぞれが論文をまとめるための費用が中心となる。その場合、必要とする費目はそれぞれ異なることが予測されるが、共通には旅費の支出が見込まれる。
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Research Products
(4 results)