2015 Fiscal Year Research-status Report
教育の質保証に資する学校支援の組織・構造に関する日英比較研究
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25381107
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高妻 紳二郎 福岡大学, 人文学部, 教授 (20205339)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校改善 / 学校評価 / アカデミー政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリスでは2014年9月のスコットランド独立に係る国民投票を経て、2015年5月に実施された総選挙の結果、D.キャメロンを首班とする保守党の単独政権となり、この数年間にわたってめまぐるしい展開を見せていた教育行政・政策もおよそ安定期に入った兆しが監守される。かかる全体的な傾向のなかで、イギリスの学校改善がいかなる背景で、そしてどのような展開を見せているのかについて先行研究分析及び現地調査を通した事例に基づき整理した。第一に、現政権も引き続いてアカデミーやフリースクールといった新しいタイプの学校への転換を奨励していること、そしてこうしたアカデミー政策の強力な推進の一環として、優れた評価を受けている学校が要改善状態の続く学校に立て直しのための人員を派遣する傾向にも拍車がかかっていることが浮き彫りとなった。ただし、性急な成果を求めるのではなく、長期的なスパンで改善を推進する基本姿勢が認められる。同時に、学校改善の推進者たる学校管理職には老若男女問わずマネジメント能力が優れている人物が就き、校長会の活気や前向きに学校改善に取り組もうとする環境作りが進んでいる事例には大きな示唆を得ることができた。 その他、最優秀評価を受けている学校では授業参観記録シート等を活用し、常時、管理職による授業参観を実施し、最高の評価をもらい続けることに腐心する姿もみられ、管理職チームの授業改善を基軸に据えた学校改善へのアプローチは、ティーチングスクールに移行したいという強い学校の戦略も反映されている。多くの学校では管理職が示す学校経営方針が職員にもよく理解され、着実に進行する施設設備の拡充はもとより、教職員が学科の枠を超えて生徒に寄り添う姿が授業にも強く反映されていることはモデルの一つとして評価し得る成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単独現地調査を予定していた時期に、教員研修センターの教育課題海外派遣プログラムのシニアアドバイザーとしてイギリス訪問調査に同行し、本研究課題を別に進める期間が短縮されたこと、およびその代替として現地調査を別途計画していたものの、疾病のため(インフルエンザ罹患)、やむなくイギリスにおける現地調査をキャンセルしたことにより、最終的な事実確認と進展状況調査を実施することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
積み残した現地訪問調査項目をクリアすることと、最新刊文献を予約・購読すること、そして各種ジャーナルやウェブサイト等で公表される論文や諸資料の分析に引き続いて取り組むことにより、本研究課題を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
単独現地調査を予定していた秋に教員研修センター主催平成27年度教育課題海外研修派遣プログラムのシニアアドバイザーとしてイギリス訪問調査に同行し、本研究課題を別に進める期間が短縮されたこと、およびその代替として現地調査を別途計画していたものの、直前の疾病のため(インフルエンザ罹患)、やむなくイギリスにおける現地調査をキャンセルしたことにより、最終的な事実確認と進展状況調査を実施することができなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
積み残した現地訪問調査項目をクリアすることと、最新刊文献を予約・購読すること、そして各種ジャーナルやウェブサイト等で公表される論文や諸資料の分析に引き続いて取り組むことにより、本研究課題を遂行する予定である。
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