2016 Fiscal Year Annual Research Report
Current Situations and Issues of Local Educational Planning in a Society with a Decreasing Population
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25381115
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
屋敷 和佳 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (70150026)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人口減少社会 / 教育振興基本計画 / 総合計画 / 都道府県教育計画 / 教育委員会 / 訪問聞き取り調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度において実施した主な作業は次の3点である。 第一は,教育振興基本計画の策定と実施に対する東日本大震災の影響の整理である。訪問聞き取り調査を通じて,被害の大きかった自治体では,復旧・復興のために教育委員会職員が大幅に削減されたため計画期間が過ぎても未改訂のままになっているケースがあること,実施に関しては,教育委員会が震災対応に追われたため学校統廃合の検討が中断し一層の小規模校化が進行したケースや,その一方で復興を契機とする学校統合の進展や小中一貫教育を目指す小中一体型施設の整備が実現したケースがあること,さらに,防災教育や児童・生徒への「心の教育」の充実が新たな計画の目標に加えられたこと等を把握した。第二は,教育振興基本計画,総合計画,教育大綱,総合戦略の関係性の分析である。総合教育会議の庶務を担当する首長部局や教育委員会への訪問調査を実施し,教育大綱の策定に関わる教育振興基本計画の扱い等の聞き取りから,首長の姿勢等による教育政策内容と取組の違いを把握した。第三は,教育振興基本計画の系譜の整理である。教育振興基本計画の歴史は,自治体によっては国の教育振興基本計画の策定をはるかにさかのぼる。そこで,総合計画との関係を中心に事例的に探った。 以下に、本研究から得られた主な知見を示す。(1)教育振興基本計画の策定は小規模自治体ほど進んでいないが,小規模自治体でも四半世紀を超えて教育基本計画の策定を継続しているところもあり,自治体の教育推進体制には大きな違いがある。(2)新教育委員会制度の下で教育大綱の策定が義務づけられ,教育振興基本計画や総合計画との関係性を整理することが課題となっており、自治体教育計画策定は新たな段階に入った。(3)自治体教育計画の変遷の重要な特徴の一つとして,地域開発・産業振興から地域生活を守る地域振興のための教育計画への変化がある。
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