2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 哲也 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (50207114)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エジプト / 高等教育 / 市場化 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本研究は、1980年代以降のエジプト高等教育の制度的展開と拡大、その中で生じてきた諸問題を「市場化」過程をめぐる問題として、制度改変とその影響を歴史社会学的、教育社会学的、認知的・構築主義的に研究することを目的としている。平成25年度は資料収集を中心に行うとしていた。計画では、ネット等により調達可能な、欧米語及びアラビア語で出版された先行研究、関連書籍等の日本国内からの調達、及び現地での教育省、高等教育省、統計局等が所蔵する資料(教育省令、決定、報告書等)の現地での資料収集を中心に行い、それらに基づいて制度的改変について論文等で発表する予定であった。 国内からの資料収集については、ネットによるアラビア語書籍の購入など予想以上に成果を上げることができた。しかし、現地での資料収集に関しては、予定していた調査時期に軍による事実上のクーデター、及びクーデターに反対する前大統領派への武力鎮圧が行われ、調査対象機関周辺が武力紛争状況に陥ったためエジプト現地における資料収集を断念せざるをえなくなった。そのため、現地エジプト以外でまとまった統計等、エジプト高等教育関係資料を所蔵する唯一の機関であるアメリカ連邦議会図書館に資料収集場所を変更し、同地で2週間にわたり複写による資料収集を行った。 収集することのできた資料を基に、エジプト高等教育の「市場化」のプロセスとその影響について研究を進め、その成果の一部は京都大学地域研究統合情報センターで開かれた国際シンポジウム、「ポスト・グローバル化期の教育:高等教育の再編と教育の新しい役割」(平成25年10月26、27日)パネリストとして「エジプト高等教育の拡大と市場化について」として発表し、国内外の研究者と意見の交換を行った。 制度史の論文には第一次資料使用が望ましいので、平成26年度での現地調査の可否が明らかになった時点で判断したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地での資料収集実施時期(夏季休暇)に事実上のクーデターが発生し、資料収集予定機関周辺が多数の死傷者を出す軍・警察と前大統領派との武力衝突の場となったため、計画していた資料収集方法と収集機関を変更せざるをえなくなり、第一次資料の収集を先延ばしせざるをえなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現地の治安や第一次資料の収集可能性について判断した上で、可能であれば平成26年度にエジプトでの資料収集を行い、計画では平成25年度中に行うことになっていた制度的改変に関する論文を公開する。 不可能な場合は、必ずしも第一次資料を必要としない社会学的、認知的・構築主義的研究を選考して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
エジプト現地出張ができず、書籍購入費、複写費用等が予定額以下となったため。 平成26年度、現地出張中に書籍購入等で使用する。
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