2015 Fiscal Year Annual Research Report
通常小中学校に在籍する病虚弱児の教育的ニーズに対する地域支援システムの開発
Project/Area Number |
25381299
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
泉 真由子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00401620)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 病弱特別支援学校 / センター的機能 / 病虚弱児 / 通常小中学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「病弱特別支援学校のセンター的機能を有効化し、地域の通常小中学校に在籍する 病虚弱児がもつ教育的ニーズへの対応システムモデルを構築する」である。7段階の研究計画を立て今年度は主に、【5】通常小中学校における病虚弱児の教育的ニーズの洗い出しと支援内容や効果の多面的質的評価、【6】モデル地区内の通常小中学校教諭の病虚弱児教育に対する意識調査(事後調査)、【7】地域 相談システムモデルの立案、を中心に取り組んだ。地域の病弱特別支援学校と連携して実際のケース支援を取り組み、これを通して効率的で運用可能な地域における対応システムモデルの構築を目指している。 平成27年度は、前年度から継続する2ケースと新規2ケースについてケース支援を行った。4ケースのうち実際に病弱特別支援学校の特別支援教育コーディネーターが教育相談として関わったのは1ケースであり、病弱特別支援学校が地域の学校でセンター的機能を発揮する難しさが明らかとなった。これは、普通小中学校において慢性疾患や情緒的問題が原因で特別な配慮や支援を要されるケースの多くにおいて発達障害がベースにあり、このことに対して病弱特別支援学校が主体的に支援に関わることに大きな抵抗があることが示唆された。センター的機能を十分に発揮するためには、病弱特別支援学校においても発達障害に関する専門性の向上が必要であると考えられた。 ケース支援で関わった普通小学校において、「病虚弱児教育に対する意識調査(事後調査)」を実施したところ、特別支援教育全般に関する注目度の高まりは見られたが、病弱児教育については事前調査と比較して変化は見られなかった。これはケース支援における病弱特別支援学校の関与の低さが原因の一つであると考えられた。 地域の普通学校に在籍する心身の病気を持つ子どもの支援方法、多職種間連携の在り方については一定の有意義な知見が得られた。
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