2014 Fiscal Year Research-status Report
高校・大学生の発達障害における身体機能障害の評価・支援法の開発とデータベース構築
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25381301
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Research Institution | 社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団兵庫県立リハビリテーション中央病院(子どもの睡眠と発達医療センター) |
Principal Investigator |
中井 昭夫 社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団兵庫県立リハビリテーション中央病院(子どもの, 子どもの睡眠と発達医療センター, 副センター長 (50240784)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発達性協調運動障害 / アセスメント / 青年期・成人 / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発達障害はいわゆる「不器用」と呼ばれる「協調」の稚拙さや「感覚」の問題など「身体機能の調整障害」による「生活障害」であるという最新の脳科学や当事者研究の知見に基づく観点から、我が国においては未だ実態がつかめていない青年期・成人期の発達障害のこれらの問題について明らかにし、当事者の社会参加のための包括的な支援・指導に繋げることを目的とする。 今年度は、昨年度、英国Kirby A教授との国際共同研究により開発を行った、青年期・成人期用の発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder :DCD)に関する世界初のアセスメントツールである、Adult Developmental Co-ordination Disorders/Dyspraxia Checklist (ADC)の日本語版を用いたプリテストを行い、予備的に信頼性の検討などについて検討した。 また、発達障害当事者団体の協力を得て、自閉症スペクトラム障害における、協調運動と自閉症の中核症状との関連について詳細に検討を行った。その結果、協調運動と自閉症の特性や重症度とが深く関連していることが明らかとなった。まず、日本人高機能広汎性障害における検討では、特に微細運動・書字がAutism Diagnostic Interview-Revised (ADI-R)日本語版におけるコミュニケーションと強く相関しており、また、別の検討では、開発中のMovement Assessment Battery for Children 2nd edition (M-ABC2) を用いた協調運動とsocial responsiveness scale (SRS)を用いた自閉症特性の重症度が有意に相関し、この検討でも、手指の巧緻性と自閉症特性の重症度が強く相関することが明らかになった。協調運動と社会コミュニケーションの密接な関係は、新しい障害概念や支援の方向性について寄与するものと考えられる。 更に、DCDのにおけるスポーツへの参加と困難感についての検討、学業・職業にも大きなインパクトを与える書字スキルに関する検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の研究機関変更やそれに伴う研究環境の整備などの困難があったが、そのような状況の中でも、国際共同研究により、昨年度開発した青年期・成人用のDCDに関する国際的アセスメントツールであるADC日本語版を用いて日本文化における信頼性など予備的検討を行った。 また、当事者の団体からの協力を得て、協調運動と自閉症スペクトラム障害の中核症状や重症度との関連について複数の観点から検討を行い、協調運動と自閉症スペクトラム障害の重症度が相関、特に、微細運動(書字や手指の巧緻性)と社会・コミュニケーションとの強い関連について見出した。 また、DCDにおける心理社会的な検討や学習・就業、日常生活での困難さやその支援について検討を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
青年期・成人用のDCDに関する国際的アセスメントツールであるADC日本語版の標準的データを作成する。また、その他の発達障害のアセスメントとの関連についても解析し、障害のディメンジョナルな理解と支援との関連について検討する。 これらの成果から、発達障害支援者はもとより、当事者・保護者自身も気づかなかった協調や感覚など身体機能に関する「困り感」やその解決・支援方法のデータベース構築、高等教育現場や就労支援などにおける客観的評価に基づく「合理的配慮」のあり方や指導方法、国民への理解促進・啓蒙に資する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属研究機関の移動に伴い、業務の状況等の諸事情により、今年度の国際学会発表のための海外出張費は翌年度の国際学会での発表に繰り越した。また、移動に伴う研究環境の整備を行ったため、昨年度末に前任地で購入予定であった備品の購入は今年度、新しい研究期間において執行した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度計上していた国際学会発表のための海外出張費は、上記諸事情より演題登録などを見送る判断を行い、次年度のアジア・オセアニア小児神経学会(AOCCN2015)での発表に変更とた。次年度に計画当初より元々予定していた第11回国際発達性協調運動障害学会(DCD-11)と合わせて、成果を発表する。設置などが遅れたいくつかの物品は次年度に繰り越して執行する。
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[Presentation] A Cross-cultural Collaboration for Identifying Motor Delay in Young Preschoolers.2014
Author(s)
Rihtman T, Wilson BN, Cermak S, Rodger S, Schoemaker MM, Cantell M, Jover M, Albaret JM, Ray-Kaeser S, Magalhaes L, Cardoso AA, Van Waelvelde H, Hultsch D, Tseng MH, Sun SH, Pineaar A, Coetzee D, Nakai A, Green D, Martine R, Parush S.
Organizer
The 16th International Congress of the World Federation of. Occupational Therapists in collaboration with the 48th Japanese Occupational Therapy Congress and Expo.
Place of Presentation
Yokohama
Year and Date
2014-06-18 – 2014-06-21
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