2013 Fiscal Year Research-status Report
特別な配慮を必要とする乳幼児の保育カリキュラムと保育の質に関する保育学的実践研究
Project/Area Number |
25381325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
山崎 晃 明治学院大学, 心理学部, 教授 (40106761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 剛太 香川大学, 教育学部, 准教授 (50432703)
越中 康治 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (70452604)
朴 信永 椙山女学園大学, 教育学部, 専任講師 (50462057)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 障害児 / 保育者 / 支援 |
Research Abstract |
本研究の平成25年度の目的は、(1)障害児保育カリキュラムの実態・問題点を明らかにすること、(2)障害児保育の質の特徴を明らかにするであった。幼稚園・保育所の保育カリキュラムに関する調査を実施した。特に、保育者が障害児保育の課題・問題であると認識している点に関する自由記述による調査を実施し,テキスト・マイニングによって分析した。具体的には,障害のある幼児の保育・教育について保育関係者がどのような意見を抱いているのか,さらには,クラス担任や主任,園長等の管理職といった立場の相違によって意見にどのような特徴が認められるのかを,テキストマイニングによる分析から明らかにした。 保育関係者を対象とした質問紙調査において「幼稚園・保育所における障害児の教育・保育に関してご意見等をお聞かせください」と自由記述を求め,回答の得られた308名を分析の対象とした。 その結果、概要は以下の通りである。抽出された用語をJaccardの類似性測度が大きい順に,上位10ずつをリストアップし,共起ネットワークのコマンドを用い,各職種と特徴づける語との関係を描いた。意見について,園長と教頭では,「気になる子ども」という表現を用いて,保護者への対応や小学校との連携・就学を意識した記述が多く、主任では,障害の診断,障害に関する知識や発達の理解について,専門的な支援を求める記述が多くみられた。一方、クラス担任では,主任と同様に保育者の援助の大切さについて言及しつつも,障害児と定型発達児という表現を用いて,両者への対応が難しいと感じることを率直に述べているケースが多かった。職種を問わず、専門家・専門機関による指導・支援・研修を求めていたが,その内容は職種により異なっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)障害児保育カリキュラムの実態・問題点を明らかにするための半構造化インタビュー調査については十分なデータがそろったとは言い難いが、概ね予定通りにすすんでいる。 (2)障害児保育の質の特徴を明らかにすることについては、保育環境を評価するために「保育環境評価スケール」及び「ECERS-R」の項目の中から,障害児保育の質の特徴を捉える項目を選び、集計を行っているので、研究全体として概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、障害児保育カリキュラムとその保育の質に関してより深く掘り下げた研究を行う予定である。そのため,平成25年度と同様に幼稚園・保育所を対象として半構造化インタビューを行い、データを蓄積し、障害児保育カリキュラムを編成している園としていない園との保育について、ECERSの結果とテキスト・マイニングによる自由記述内容の分析と比較分析する。それによって何が障害児保育及び障害児カリキュラムで必要かについて議論・省察を深める。併せて、KJ法的分析、グラウンデッド・セオリー・アプローチ等の手法によるデータの再分析を行う。 平成27年度においては、平成25年、26年に渡って実施した研究結果のとりまとめを行い,保育現場における保育カリキュラムの改善に向けて,啓蒙のためのワークショップや学会においてシンポジウム等を開催し,成果の普及を図り、調査協力園において調査結果に基づく報告会・研究会等を行い,保育現場における課題・問題点とその解決の方向性を見出すように努める。さらに,研究成果を学会発表,学会誌への投稿,研究紀要への投稿などを通して広く成果を公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、複数回の研究ミーティングを計画し実施したが、研究分担者・研究協力者の種々の都合で研究代表者、研究分担者及び研究協力者の研究ミーティングへの参加が困難となり、参加者が少なかったこと、日本保育学会(福岡)、日本発達心理学会(京都)等の機会を利用し研究ミーティングを実施した等の事由により、当該助成金残額が生じた。 平成26年度は、研究分担者及び研究協力者に、研究ミーティングを複数回開催するなどによって参加者を確保し、併せて研究分担者及び研究協力者の地区での研究ミーティング開催等を開催する。
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Research Products
(2 results)