2014 Fiscal Year Research-status Report
放射性トレーサー8Liによるコバルト酸リチウムのナノスケールでのリチウム拡散測定
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25390036
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
石山 博恒 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50321534)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノマイクロ構造解析・評価・試験法 / 放射性トレーサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、未だ確定していないリチウム2 次電池の正極材料であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)のリチウム自己拡散係数を、放射性核種トレーサー8Li によりナノメータスケールでのリチウム拡散をその場(in-site)で直接測定することで、その拡散係数を直接測定することを目的とする。低エネルギー(数 keV)の8Li 短寿命核ビームにより8Li を数十nm 深さに植え込み、さらに試料表面に対して小角度(~10度)に設置したアルファ粒子検出器により深さ方向のエネルギー感度を増した測定を行うことで、ナノメータスケールでのリチウム拡散をその場測定することが可能である。本研究により、汎用的にリチウム2 次電池材料のナノスケールでのリチウム拡散を非破壊的かつその場で測定する手法を確立する。 昨年度、測定を行った、全固体薄膜型リチウム2次電池固体電解質候補の1つであるLi2O-V2O5-SiO2 (LVSO)のデータ解析が終了した。結果として、試料温度100℃で、9.2±0.23×10(-12) cm(2)/s、130℃で1.7±0.43×10(-11) cm(2)/sの拡散係数を導出することができ、放射性トレーサー法で初めてナノスケールでのリチウム拡散を測定した。本成果は、Japanese Journal of Applied Physics誌より出版し、国際会議等で公表した。引き続き、リチウム電池正極材料の1つであるスピネル型リチウム化合物LiMn2O4の測定を開始した。放射性トレーサー8Liは日本原子力研究開発機構東海タンデム加速器施設同位体分離器より8 keVのエネルギーで供給し、試料に照射した。試料温度350℃前後で、リチウム拡散によるアルファ線強度の時間変化を観測できた。測定前後でのX線回折による試料の性質測定を行ったところ、若干の変質が観察された。このため、液体窒素トラップの増設等、拡散測定装置の真空環境を行った。オフラインでの試料の加熱テストの結果を踏まえ、再度測定を行い。LMOの拡散係数の確定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、LVSOの解析が終了し、ナノスケールでのリチウム拡散が観察できたことが実証できた。またLMOの測定を開始し、350℃前後でリチウム拡散によるアルファ線強度の時間変化を観察した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、LMOの測定を終了し、拡散係数を確定する。さらに、LiCoO2のリチウム拡散係数の測定実験を行う。
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Causes of Carryover |
本年度、実施予定だった実験が次年度に繰り越しになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越しとなった実験の準備ならびに遂行に使用する。主に旅費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)