2013 Fiscal Year Research-status Report
レーザー光を用いたコロイド状ナノ粒子の凝集状態制御とナノマイクロ構造作製への利用
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25390042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
辻 剛志 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (50284568)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レーザー / コロイド / ナノ粒子 / 凝集 / サブミクロン粒子 |
Research Abstract |
本年度における主な目標は①レーザー誘起凝集ダイナミクス解析のための観測系構築および②サブミクロン粒子生成過程の解析と制御であった。以下それぞれの目的に対して行った実験と成果を示す。 ①コロイドの吸収および散乱スペクトルを同時に測定するシステムを構築し、原料コロイド中のナノ粒子の凝集量、大きさの保護剤の種類や量による違いを相対的に比較することが可能となった。 ②・凝集開始のクエン酸濃度の閾値を見積もることに取り組んだ。有機化学の専門家の協力を仰いで行ったクエン酸量の分析化学的手法による定量に関しては、実験的に難しいことがが分かったので断念したが、様々なクエン酸/ナノ粒子濃度比率のコロイド溶液に対して、クエン酸/ナノ粒子濃度比率とプラズモンバンドの変化が起きるレーザーパルス数との関係をプロットすることによって閾値が見積もることが可能であることを明らかにした。 ・レーザー光照射による動的なナノ粒子の凝集の誘起によってサブミクロン粒子の生成が起きるのであれば、他の保護剤を用いて作製したナノ粒子を原料にしてもサブミクロン粒子の作製が可能であるはずである。これを検証するためにクエン酸と同様に液中レーザーアブレーション法で作製した金ナノ粒子を保護する能力を有しているNaClを用いたサブミクロン粒子の作製を試みたところ、サブミクロン粒子の作製が可能であることが明らかになった。さらに、NaCl溶液中とクエン酸溶液中ではサブミクロン粒子の生成過程に違いを示唆するデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
レーザー照射中のゼータ電位のその場測定システムに関しては構築が完了していないが、一方で凝集が開始される際のクエン酸量についての見積もりが達成できた。また、散乱スペクトルの測定システムを構築したことによって、原料中の凝集粒子の大きさ、濃度の比較が容易になった。さらに、レーザー照射による動的な凝集の誘起という、これまでの研究から明らかになった概念を応用することによって、他の保護剤を用いたサブミクロン粒子の作製が可能であることを明らかにしつつある。この成果はさらに高い生体適合性を有するサブミクロン粒子の作製法の確立に道を開き、本研究課題を当初の予想の範囲を超えて発展させる可能性を示唆するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
①ゼータ電位変化のその場測定システムの構築 ②NaClや他の塩を保護剤として用いたサブミクロン粒子の作製とメカニズムの解析 ③化学合成法等、液中レーザーアブレーション法以外の方法で作製されたナノ粒子を原料とするサブミクロン粒子の作製法の構築
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
報告者は本年1月に九州大学から島根大学に異動した。 そのため、異動に伴う設備の移管、再セットアップ等により1月から2月までの間の研究時間が短縮された。さらに、異動先で必用な物品について予想できない部分があった。 これらのことから、物品の購入を当初計画していたスケジュールで行うことが出来なかった。 実験装置の再セットアップ等の作業がほぼ完了し、当初計画していた実験が継続可能な状況になったため、本年度に合わせて使用する予定である。
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Research Products
(19 results)