2014 Fiscal Year Research-status Report
レーザー光を用いたコロイド状ナノ粒子の凝集状態制御とナノマイクロ構造作製への利用
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25390042
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
辻 剛志 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (50284568)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レーザー / コロイド / 凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
・昨年度までにクエン酸以外の保護剤として,生体親和性の高い,NaClを用いた金サブミクロン粒子の作製が可能であることを明らかにしたが,本年度,この系についてさらに詳細に調べたところ,凝集過程の挙動だけでなく,生成するサブミクロン粒子の粒径もクエン酸を保護剤として用いた場合とは異なることが明らかになった。そこで,保護剤の役割をさらに明らかにするために,炭酸ナトリウムを保護剤として用いた金サブミクロン粒子の作製を試みた。その結果,炭酸ナトリウムを金ナノ粒子の保護剤として用いることが可能であること,レーザー照射によってクエン酸やNaCl水溶液中と同様に金ナノ粒子の凝集が誘起され,金サブミクロン粒子が得られること,が明らかになった他,凝集-溶融の過程がNaClではなく,クエン酸を保護剤として用いた場合のものに非常に類似していること,さらに同一のレーザー強度で得られた金サブミクロン粒子の粒径が,クエン酸,NaCl,炭酸ナトリウムそれぞれを保護剤として用いた場合で異なることが明らかになった。これらの結果を総合的に判断すると,クエン酸と炭酸ナトリウムがレーザー照射の際に分解等によって不可逆的に金ナノ粒子から脱離するのに対し,NaClは脱離後に際吸着する可能性があることがこのような違いを生んでいると推定できる。つまり,保護剤の挙動は,生成過程だけでなく,サブミクロン粒子の粒径にも大きな影響をおよぼす因子であることが明らかになった。 ・炭酸ナトリウムやNaCl水溶液中の金サブミクロン粒子生成過程について調べたところ,レーザー照射開始から,ナノ粒子の生成が始まるまでの時間や,凝集-溶融速度とレーザー照射後に残留するナノ粒子の量と間に強い相関があることが明らかになった。また,残留ナノ粒子量とサブミクロン粒子の粒径との間にも相間があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に示した通り,レーザー誘起凝集過程における保護剤の挙動についての知見が得られただけではなく,凝集挙動とナノ粒子の残留量,および粒径との関係に関する知見が得られ,粒径制御の指針を確立に向けて大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
・レーザー誘起凝集過程における保護剤の挙動の解明:さらに多くの種類の物質を金ナノ粒子の保護剤として用い,レーザー照射の際のそれらの物質の変化(脱離,分解)とナノ粒子凝集過程との関係を系統的に調べる。 ・粒径制御の指針の明確化:ナノ粒子濃度や保護剤の挙動によるサイズ変化を系統的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
当該年度に未使用額が生じた理由は,前年度途中で報告者が異動したことであり,当該年度では前年度に使用を計画していた分を一部使用している。 また,次年度に2件の国際学会への参加が予定されていることもあり,一部を繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上でも述べたように,繰り越し分は国際学会への参加費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)