2014 Fiscal Year Research-status Report
巨大分子ネットワークに基づくナノスケール多端子確率共鳴デバイス
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25390056
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
平野 義明 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 特命助教 (10434896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子デバイス / クーロンブロッケードモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、(1)ナノトランスファープリンティング法での電極作製の継続、(2)シトクロムC3と呼ばれる酸化・還元準位を3つ含むタンパク質を用いて素子を作製して、電気伝導の温度依存性を調べた。(1)については、シトクロムCとDNA試料への電極の付着が困難で、現在も継続して実験を行っている。(2)については、非常に興味深い結果が得られたので以下に記述する。
100 k以下の温度領域で、閾値電圧を有する電流-電圧特性の結果が得られた。そして、この結果は、低次元クーロンブロッケードモデルで説明可能であった。ここまでは、シトクロムCと類似の結果であるが、再現性を調べたところ、シトクロムC3を用いた場合、電気伝導経路の数を示唆するゼータ値がサンプルに依存して変化することを見出した。また、ゼータ値は、シトクロムC3と相互作用させたDNAの種類にも依存して変化することが分かった。理由として、形態変化に基づく次元の変動やシトクロムC3がDNAと相互作用してシトクロムC3の酸化・還元準位に影響を及ぼしたためと考えられる。今後、検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノトランスファープリンティング法での電極作製は現在も難航しているが、昨年度に作製した素子に対して、入力信号と独立に熱ノイズを加えて、確率共鳴の信号処理実験に既に成功したため。また、シトクロムC3と呼ばれる酸化・還元準位を3つ含むタンパク質を用いて電気伝導の温度依存性を調べて解析したところ、サンプルや相互作用させたDNAの種類に依存して、電気伝導の経路を示唆する値が変動することを新規に見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在も難航しているナノトランスファープリンティング法での電極作製を継続する。また、電気伝導経路の数を示唆するゼータ値の変動理由を光電子分光法で検証する予定である。
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Causes of Carryover |
理由は、主に以下の2点からなる。
(1) 今年度もUV-オゾンクリーナーを購入せず、研究室に備え付けのプラズマ処理装置を代替として使用したため。(2)研究の議論に対して必要な旅費を講演依頼者の方に負担して頂いたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シリコン基板、原子間力顕微鏡用のカンチレバー、タンパク質、ナノトランスファープリンティングで使用する純正モールドなどを購入予定である。
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