2013 Fiscal Year Research-status Report
有理型写像の値分布論、特に一意性問題と除外因子の集合の構造についての研究
Project/Area Number |
25400125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
相原 義弘 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (60175718)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有理型写像 / 値分布論 / 除外因子 / 除外指数 / 一次系 / 旗多様体 / 一意性定理 |
Research Abstract |
1.複素射影空間に値を持つ有理型写像の一意性を研究する際に最も有効な方法であるBorel型恒等式についてその定量的精密化であるRu-Wangによる第2主要定理(Trans. Amer. Math. Soc (2003))の応用について考察し、一意性問題に対するいくつかの応用する方法を得た。また計量に関する接続を用いる第2主要定理を用いて、Borel型恒等式の一般化について研究した。複素射影空間内に因子として超平面を与えた場合にこの方法で古典的なBorel型恒等式に関する結果が得られる。同様な結果を一般の非特異射影代数多様体内に適当なケーラー計量が与えられた場合を考察し、この計量に対して全測地的な超曲面に対して得る事が出来た。 2. 研究代表者は論文Deficiencies of holomorphic curves in algebraic varieties (Tohoku Math. J. (2012))において射影的代数多様体 M 内の正則曲線の除外指数がM上の一次系の底点に関する除外指数に一致することを示し、除外因子の集合が一次系の可算和であることを示した。この結果を旗多様体の幾何学の観点から精密化することについて研究した。現段階では上記論文の幾何学的な再構成については基礎的な研究はほぼ終了した。更に旗多様体の観点から精密な研究を行う。また複素射影空間内の正則曲線について、除外値を持つ導来曲線の構成について研究を行った。このような構成法について指数写像を用いる方法について研究を行った。 上記の研究遂行にあたって研究会・セミナーに積極的に参加し、本研究費は有効に用いられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.有理型写像の一意性問題については、Borel型恒等式を用いる方法が最も有力な方法であるが、Borel型恒等式についてはいくつかの新しい結果を得る事が出来た。応用として一意性定理が得られるが、非退化条件との関係等から改良の余地が残されている。精密化・一般化について様々な非退化条件の下で研究を継続する。また計量に関する接続を用いる第2主要定理を用いて、一般の非特異射影代数多様体内にケーラー計量が与えられた場合、この計量に対して全測地的な超曲面に対して複素射影空間に超平面を与えた場合と同様な結果を得る事が出来た。一般の射影的代数多様体考えた場合には実例を構成することが重要な問題であり、このような超曲面の実例の構成について研究を継続している。現段階では研究目的の基礎的な部分の結果が得られているが、更に研究を遂行する必要がある。 2. 研究代表者は射影的代数多様体 M 内の正則曲線の除外因子の集合の構造定理を与え、この集合が一次系の可算和であることを示した。また除外指数がM上の一次系の底点に関する除外指数に対応することを示し、の結果を旗多様体の幾何学の観点から精密化することについて研究したが、 現段階では上記論文の幾何学的な再構成については基礎的な研究はほぼ終了した。導来曲線の理論の構成のためには、更に旗多様体の観点から、群作用との関係等の研究を行う必要がある。また複素射影空間内の正則曲線について、除外値を持つ導来曲線の構成について研究を行った。このような構成法について指数写像を用いる方法について研究のみ研究を行った。この他に増大度の非常に小さい古典的な整函数の理論を用いる方法がありこれについても更に研究を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果を踏まえて以下の研究を行う。 1. m次元複素ユークリッド空間上定義され非特異複素代数多様体 M に値を持つ有理型写像ので M 上に与えられた因子 D の逆像が等しくなる写像のfamily F に対して一意性・有限性問題の研究を行う。特に Dが超平面の和である場合を考察し、射影変換群及びその部分群の F への作用における軌道の個数の有限性を与える条件及び軌道の個数の評価についての研究を行う。この場合 F に属する有理型写像に対する非退化条件と軌道の個数との関係は興味深い問題であり、この研究を行う。方法論的にはBorel型恒等式の一般化とその応用について研究する。またターゲットがトーリック多様体の場合も考察する。Borel型恒等式の議論を適当なケーラー計量に関する接続を用いて研究することは新しい試みであり研究を継続して行う。 2. 複素射影的代数多様体 M への正則曲線 f に対して、複素射影空間への正則曲線 f に関するWeyl-Ahalforsによる導来曲線の理論を拡張することを研究する。旗多様体の観点からの研究を行う。特に M 上の一次系をパラメトライズするグラスマン多様体への正則曲線で f の導来曲線に対応するものの存在・構成について研究する。除外指数と底点を持つ一次系との対応について研究し、M 上の一次系の底点に関する除外指数の和の有限性について研究する。さらに M 上の正則曲線とその導来曲線の除外指数の構成について、特に位数が有限な曲線の場合に組織的に研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
下記の理由により次年度使用額が生じた。 物品費については購入予定図書のうち、複素解析及び代数幾何に関する研究図書で刊行時期が12月から3月に遅れたものがありこれを次年度の購入に回したものが1点あったこと、及び出版形態がPOD版に変更になったため納入時期が次年度になったため購入を取りやめたものがあった。したがって物品費の使用が当初の予定より減少した。 旅費については参加予定の研究会の開催時期が例年と異なるものがあり、参加することが不可能な事態が生じた。したがって旅費の使用額が当初の予定よりも減少した。 上記の理由により購入を見送った研究図書を今年度購入する。更に新規購入予定の図書費として使用する。
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