2013 Fiscal Year Research-status Report
確率システムのロバストな最適フィルタおよびスムーザー
Project/Area Number |
25400149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷川 明夫 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (00163618)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 確率論 / 確率システム |
Research Abstract |
一般の非定常時系列に対する真に実用的なフィルタリング理論は、Kalmanによって1960年代に提案された。それは、状態変数の最適な推定値を逐次的に(オンラインに)求める画期的なアルゴリズムとして提案された。しかし、状態空間モデルリングにミスマッチがある問題に対してはあまり良い結果が得られないという重大な欠点があった。その後 Chen-Patton はミスマッチ部分を外部入力項とし、この外部入力項を射影行列によりうまく分離し消去する簡明なアルゴリズムODDO(optimal disturbance decoupling observer) を提案した。そして彼らはODDOを飛行制御問題に適用し、ODDOの Kalmanフィルタに対する優越性を示した。しかしながら、彼らのアルゴリズムは、いくつかの具体的な数値実験問題に対しては、あまり良い結果につながらないことが報告されていた。申請者らは、彼らがノイズの独立性が成り立たない場合にも、独立性に関する暗黙の仮定の下で間違った基本公式を導出し、それに基づいて誤った最適フィルタを導出していることを最近の研究において明らかにした。本研究においては、状態空間モデルを未知の外部入力項を含む動的システムとして捉え、それに対するChen-Patton の研究の誤りを訂正し、真に正しいロバストで最適なフィルタリングの理論を構築することができた。また、代表的なサンプル問題に対し、我々の新しいアルゴリズムの正しさを確かめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Chen-Patton は、状態空間(動的システム)モデルが未知の外部入力項を有するときに、その外部入力項を射影行列によりうまく分離し消去するアルゴリズムODDO(optimal disturbance decoupling observer)を提案し、それを飛行制御問題に適用し、ODDOの Kalmanフィルタに対する優越性を示した。Kalmanフィルタの重大な弱点を克服した新しいアルゴリズムの提案により、彼らはIEE学会賞を受賞した。しかし、彼らのアルゴリズムは、いくつかの具体的な数値実験問題に対しては、あまり良い結果が得られないことがしばしば報告されていた。本研究では、状態空間モデルを未知の外部入力項を含む動的システムとして捉え、それに対するChen-Pattonの独立性に関する間違った基本公式に基ずく誤ったアルゴリズムを訂正し、真に正しいロバストで最適なフィルタリングの理論をほぼ完全に構築することができた。また、代表的なサンプル問題に対し、我々の新しいアルゴリズムの正しさを実際に確かめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、状態空間モデルを未知の外部入力項を含む動的システムとして捉え、それに対するChen-Patton の研究の誤りを訂正し、真に正しいロバストで最適なフィルタリングの理論を構築することができた。また、代表的なサンプル問題に対するシミュレーションにおいて、我々の新しいアルゴリズムの正しさを実際に確かめることができた。今後は、実際問題に適応できる汎用性が高いアルゴリズムを開発することを第一の目標とする。さらに数値実験を繰り返すことによりその正しさを確かめ、他の方法との比較を行う。そして、実用上重要である観測雑音がホワイト雑音でない場合にも適用できる方法を開発する予定である。また、この最適フィルタをスムージング問題に応用し、外部入力項を含む動的システムに対する最適なスムーザーを導出することを次の目標としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
汎用性の高いソフトウェア上でのプログラムの開発を計画していたがまだ準備不足であり、そしてそのためのソフトウェアの購入も出来なかった。 今後は、実際問題に適応できる汎用性が高い方法を開発することを第一の目標とする。さらに数値実験を繰り返すことによりその正しさを確かめ、他の方法との比較検討を行う予定である。そして、実用上重要である、観測雑音がホワイト雑音でない場合にも適用できる方法を開発することも予定している。そのため、汎用性の高いソフトウェア上でのプログラムの開発を計画しており、それらの数値計算用ソフトウェアの購入および実験補助を行う者への謝金を予定している。
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