2013 Fiscal Year Research-status Report
原始惑星系円盤内のダスト・ガス・化学進化:汎惑星形成論と太陽系内物質起源の検証
Project/Area Number |
25400229
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 英子 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (20397821)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 理論天文学 / 星・惑星系形成 / 原始惑星系円盤 |
Research Abstract |
本研究では、近年の太陽系外惑星の発見と原始惑星系円盤観測の進展を背景に、観測と詳細モデルの比較による円盤内ダスト・ガス・化学進化の検証、ひいては系外惑星形成を含めた汎惑星形成論の検証と太陽系内物質の起源解明を目指す。 H25年度はまず(A)化学反応計算に基づいた原始惑星系円盤内の複雑な有機分子生成に関する研究を行い、円盤半径50AU以内の暖かな領域で、ラジカル同士の星間塵表面反応による複雑な有機分子生成が進むことを示した。モデル計算の結果は、分子輝線観測から見積もられた彗星中の複雑な有機分子の存在量と良い一致を示し、彗星中の分子が円盤内の塵表面反応で生成された可能性を示唆した。また輻射輸送計算にもとづき、ALMAによる円盤からのメタノール分子輝線の検出、すなわち円盤内の塵表面反応の観測的検証の可能性を示した。また、(B)円盤ガス散逸過程の1つとして提唱されている、磁気回転不安定性に駆動された円盤風が、円盤からのミリ波サブミリ波分子輝線のラインプロファイルに及ぼす影響を調べた。その結果、CI, CNなどの円盤表層部と13COなどの中層部から放射される分子・原子輝線の速度プロファイルを比較することにより、円盤風の速度構造をALMA観測から測定する方法を提案した。一方で、(C)中心星および近傍の大質量星からの紫外線照射による光蒸発を考慮した、円盤ガス面密度進化の数値計算を行い、ガス面密度の減少に伴う円盤内惑星移動の抑制、すなわち、惑星の最終軌道に及ぼす影響を調べた。その結果、近傍に大質量星が存在する場合には、短周期の海王星質量の惑星が形成され易くなることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は、塵表面反応による複雑な有機分子生成および円盤風の観測的検証に関する研究が特に進展した。光蒸発の輻射流体シミュレーションに関しては予定よりも遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
原始惑星系円盤の物理・化学構造の観測的検証、円盤内の複雑な有機分子生成、およびダスト・プロセッシングに関する現行の研究を継続する。遅れが生じている光蒸発の輻射流体シミュレーションに関しては、シミュレーション以外の手法を用い、円盤ガス散逸や化学進化、ダスト進化への影響を調べるなどの対策を講じる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年10月に京都大学から東京工業大学に異動したことに伴い、当初予定していた研究成果発表およびパソコン購入を延期したため。 H25年度に予定していた研究成果発表の旅費、およびパソコンもしくはパソコン周辺機器・ソフトウェアの購入に使用する。
|
Research Products
(18 results)
-
-
[Journal Article] Local Enhancement of the Surface Density in the Protoplanetary Ring Surrounding HD 1425272013
Author(s)
Fukagawa, Tsukagoshi, Momose, Saigo, Ohashi, Kitamura, Inutsuka, Muto, Nomura, Takeuchi, Kobayashi, Hanawa, Akiyama, Honda, Fujiwara, Kataoka, Takahashi, Shibai
-
Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 65
Pages: L14(5pp)
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] The Influences of Disk Winds on Chemical Evolution of Plotoplanetary Disks2013
Author(s)
Ishimoto, D., Nomura, H., Heinzeller, D., Walsh, C., Millar, T. J., Saigo, K.
-
Journal Title
ASP Conference Series
Volume: 476
Pages: 393-393
-
-
[Journal Article] GASPS - A Herschel Survey of Gas and Dust in Protoplanetary Disks: Summary and Initial Statistics2013
Author(s)
Dent, Thi, Kamp, Williams, Menard, Andrews, Ardila, Aresu, Augereau, Barrado y Navascues, Brittain, Carmona, Ciardi, Danchi, Donaldson, Duchene, Eiroa, Fedele, Grady, de Gregorio-Molsalvo, Howard, Huelamo, Krivov, Lebreton, Liseau, Martin-Zaidi, Mathews, Meeus, Mendigutia, Montesinos, Morales-Calderon, Mora et al.
-
Journal Title
Publications of the Astronomical Society of the Pacific
Volume: 125
Pages: 477-505
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-