2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evolution of dust, gas and chemistry in protoplanetary disks: diagnosing planet formation theory and origin of materials in the solar system
Project/Area Number |
25400229
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 英子 東京工業大学, 理学院, 准教授 (20397821)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 理論天文学 / 星・惑星形成 / 原始惑星系円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年の太陽系外惑星の発見と原始惑星系円盤の進展を背景に、観測と詳細モデルの比較による円盤内ダスト・ガス・化学進化の検証、ひいては系外惑星形成を含めた汎惑星形成論の検証と太陽系内物質の起源解明を目指す。
H29年度は(A)化学反応計算と輻射輸送計算に基づき、円盤からの水輝線の高分散観測によりスノーラインを検出する手法を、オルソH_2^{16}Oのみではなく、パラH_2^{16}OやH_2^{18}Oに拡張し、ALMA観測が可能なサブミリ波帯で調べた。その結果、存在量の小さいH_2^{18}Oの輝線は、赤道面付近のスノーラインをトレースすることを明らかにした。さらにALMA観測で得られたデータを解析し、水輝線フラックスの観測の上限値より、スノーラインの位置とスノーライン付近のダストの光学的厚さに制限を与えた。今後のALMAによるスノーライン検出に繋げる重要な結果が得られた。(B)円盤のALMA観測で得られた硫化水素および一酸化硫黄輝線フラックスの上限値より、円盤外縁部の低温領域においてダスト表面の氷マントルから非熱的に脱離する硫黄系分子の存在量が、太陽系の彗星内の硫黄系分子の存在量と矛盾しない範囲で一致することを示した。硫黄系分子は円盤内の氷微惑星蒸発の良いトレーサとなることが示唆されており、今後の観測に繋げる重要な結果が得られた。(C)中心星の紫外線照射による円盤ガスの光蒸発率の金属量依存性を、ガス加熱・冷却過程を取り入れた輻射流体シミュレーションにより調べた。その結果、0.3倍から1倍程度の太陽金属量の範囲では、金属量が低いほど円盤の寿命が短くなるという観測結果を再現した一方で、金属量が0.1太陽金属量以下になると逆に寿命は長くなった。今後の惑星形成への影響の議論に繋がる、重要な結果が得られた。
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