2014 Fiscal Year Research-status Report
ニュートリノレス二重ベータ崩壊感度向上のための精密モニター付きエネルギー較正
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25400291
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三井 唯夫 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (20283864)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に光学シミュレータ「ゼマックス」を用いて設計した、エネルギー較正モニター用カメラを実際に作製し、基本性能のテストを行った。2枚の凹面鏡を用いた結像系と、マルチアノード光電子増倍からなるカメラで、アクリル板へのアルミ蒸着ミラーなどを用いて、ほぼ設計どおりに作製した。また、発光ダイオードを一定間隔で並べた「ダイオードアレイ」を作製し、その像をモニターカメラで取得した。そのデータから、画像処理を含むオフライン解析を行い、アレイの像を再構成することによってカメラの撮像性能を評価した。その結果、1光子検出に対して10センチメートルの位置分解能が得られることが分かった。1事象辺りの光子数とエネルギー較正時の事象数を考慮すれば、線源位置に関して1センチメートル以下の位置分解能が得られると期待され、エネルギー較正モニター用に十分な性能であることが分かった。いくつかのパラメータに、シミュレーションとの不一致が見られたので、それらはシミュレーションへとフィードバックする貴重なデータとして、今後活用していく。 エネルギー較正用線源の懸架、挿入システムは昨年度開発がほぼ終わっているので、微調整とメンテナンスを行い、エネルギー較正に備えた。平成26年度中は、二重ベータ崩壊実験カムランド禅では、シンチレータ純化後の良質なデータを、また反ニュートリノ観測カムランドでは、国内の原子炉が停止中であることから、地球ニュートリノの低バックグラウンドデータを取得していた。このような貴重なデータ収集期間であるため、平成26年度中は、検出器内への機器の挿入テストは行われなかったが、性能評価はすべて終わり、エネルギー較正の準備は整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エネルギー較正の準備は完了した。平成27年度冬の、二重ベータ崩壊探索実験データ収集終了と同時にエネルギー較正を始めることができる状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度冬にデータ収集終了予定であり、その後すぐにエネルギー較正を行う。その後、キセノン入り液体シンチレータ用「ミニバルーン」の撤去作業を行う予定である。この撤去作業の予定から逆算して、エネルギー較正のために約1週間の期間が与えられるように、通常のデータ収集を終える予定である。
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Causes of Carryover |
カメラ作製と性能テストのための装置の一部(光学機器など)が現有設備でまかなえたため、平成26年度の使用額が少なくなった一方、エネルギー較正を行う平成27年度の旅費が、当初の計画より増える可能性が出てきたため、平成26年度研究費の一部を平成27年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、エネルギー較正を行うため、岐阜県飛騨市の茂住実験室への旅費、およびクリーン作業用の消耗品費として使用する。
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Research Products
(4 results)