2014 Fiscal Year Research-status Report
将来の大規模検出器を見据えた電波による空気シャワー観測手法の実証試験
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25400296
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 大輔 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (60584258)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(米国) / 宇宙線 / 電波エコー / 電子加速器 / TA実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では将来の大規模超高エネルギー宇宙線観測実験手法になりうる、電波を用いた空気シャワー観測手法の確立を目的としている。特に空気シャワーが大気を通過した際に生成される電子群による送信電波の散乱を観測する電波エコー法、及び前実験にて観測された電場の急激な変化によって生成される電波に着目している。米国ユタ州に設置された宇宙線観測実験であるTelescope Array (TA)実験との同時観測実験、及びTA実験サイトに設置された電子線形加速器による電子ビームを用いた実験により、手法の確立を目指す。 本年度にはTA実験サイトの中央にあるレーザー射出装置の横に受信装置を設置し、TA実験との空気シャワー同時観測を開始した。設置した受信装置はクロスマウントされたログペリオディックアンテナ、バンドパスフィルタ、信号増幅器及びデジタル受信器によって構成されており、TA実験の地表検出器が空気シャワーを観測した際に同時にデータを保存する。TA実験の地表検出器の特性に合わせ、大容量バッファを備えたDAQシステム、GPSによる50ns精度の時間情報を持つ。設置した受信器2基はそれぞれ送信器方向とその反対方向を向くように設置されており、それぞれ電波エコーの前方、後方散乱を受信する。また電波エコーだけでなく、空気シャワーから発生する電波についても観測対象としている。本年8月に設置を終え、10月から定常観測を開始した。 また、11月にはTA実験の電子線形加速器からの電子ビームによる電波エコー観測実験を行なった。本実験で用いた受信器は上述の定常観測の物と同等の装置となっており、相互に結果を比較することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2基の受信器の構築、TA実験サイトへの設置及び定常観測に関しては完了しており、また電子ビームを用いた試験も行なう事ができた。ただし追加で設置する予定であった受信器については、2基のアンテナによる観測結果を見て必要であれば改善を行なう事とし、設置は次年度に持ち越した。
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Strategy for Future Research Activity |
TA実験サイトにおける定常観測は継続する。またこれまで観測されたデータの解析を行ない、電波エコー事象、及び空気シャワーから発生する電波による事象の探索をすすめる。この結果を元に追加の受信器を構築し、設置する。この結果及び電子ビームを用いた実験による結果から、将来の大規模超高エネルギー宇宙線実験の観測手法としての特性を理解する。
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Causes of Carryover |
追加受信器を設置する予定であったが、本年度設置した2基の受信器による観測結果を確認後、必要であれば改善を行ない設置する事とした
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加受信器の改善及び構築、設置に使用する
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Research Products
(8 results)