2015 Fiscal Year Research-status Report
J-PARCニュートリノビームラインの放射化水処理の研究
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25400307
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
大山 雄一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (30213896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 善一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (00200759)
石田 卓 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (70290856)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | J-PARC / ニュートリノ / T2K / 放射線 / 放射化水処理 / ベリリウム / イオン交換樹脂 / 大強度陽子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
J-PARCニュートリノビームラインにおいて大量の放射化水が生じる。これはさまざまなビーム機器を冷却するために用いた冷却水がビームによる中性子等に曝され放射化するためである。このうち実験の最も大きな障害は放射性同位元素7Beである。これを効率良く高い除去率で取り除くことが必要である。 2015年度は夏季にターゲット関係の機器の交換が1月まで長引き、またビーム強度の増強も十分ではなかった。2015年度のニュートリノビームラインでの総陽子数は2.44E20 potに留まった。これはビーム時間を1.0E7秒に換算すると118kW相当のビーム強度に匹敵して、いまだに目標とするビーム強度750kWの約1/6である。このビームによって約145GBqの7Beが生じた。これをイオン交換樹脂EG-4A-HGを用いて29.2MBqまで取り除いた。除去効率は99.98%である。これは目標の99.99%よりも小さく、また2014年度に達成した99.990%にも及ばない。これは排水作業時間の制約からイオン交換樹脂通水時間を減らしたためであり、除去の失敗とは考えていない。一方、イオン交換樹脂通水時間の確保や、通水量を増やす必要性等が今後の課題として認識された。イオン交換樹脂としてミックスベッド型のEG-4A-HGではなく陽イオン型のIR120Bも用いたが大きな違いは見られなかった。 この先、現在程度の除去率を保ちながら1桁多い7Beの除去を素早く行うシステムの構築が必要であり、今回の結果に基づいた考察が必須である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年5月のハドロン施設の事故によるビーム時間の減少に引き続き、2015年のターゲット関係のメンテナンスによるビーム時間の減少により十分なビーム時間が確保できていない。それに加えてビーム強度の増強も順調ではない。2015年の陽子ビームの蓄積は118kW x 1.0E7秒相当に留まり、本研究の目標である750kW x 1.0E7秒相当のビームに対する放射化水処理の研究には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
7Beの除去率についてはすでに十分目標値に到達している。より高濃度の7Beに対応する必要があり、そのためには加速器のビーム強度増強とビーム時間の確保を待つほかはない。今後はイオン交換樹脂の劣化についての研究等も必要となると考えられる。
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Causes of Carryover |
2015年度はターゲット冷却系システムの故障により予定していたビーム量が得られなかった。そのために研究の遅れが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度の使用計画を2016年度に先送りする。
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Research Products
(16 results)