2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400451
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山崎 和仁 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (20335417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷島 尚宏 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00548141)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 連続体力学 / 断層 / 破砕帯 / 非整数微分 / フラクタル / 非整数次元 / ラプラス方程式 / グリーン関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
横ずれ断層の破砕帯における変位場を支配する平衡方程式はLaplace方程式である。この方程式は、整数階微分であが、破砕帯においてはそのフラクタル性から必ずしも整数微分による記述が最適とはいえない。そこで、横ずれ断層の破砕帯におけるLaplace方程式を非整数次元にまで拡張し、そのGreen関数を考察した。 一方、上記の非整数微分階数は、空間の次元数と関係することが示される。そこで、横ずれ断層の破砕帯における変位場の実測データから、その空間の次元数を逆に求めてやる、という解析を行った。その結果、破砕帯の空間次元数はある範囲の非整数値をとることが明らかとなった。これは、従来の断層破砕帯におけるフラクタル解析の研究結果とも整合的である。しかしながら、従来の解析は半経験的であったのに対し、本研究では解析的に上記の結果を導いた点に大きな特徴がある。これにより、他の系に対する応用もより容易になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
断層変位場に非整数微分の手法を適用し、Green関数を導出して、実際の解析データとの比較をおこなう、という当初の目的はおおむね達している。例えば、断層周辺の岩石の破砕度の定量化が、断層変位場のLaplace変位場からのずれとして記述しうることを示した点は重要である。これにより、従来の解析ではデータサンプリングによる直接的解析しかなかった岩石破砕度の記述が、人工衛星による合成開口レーダーなどによる大域的な解析により可能になることが期待される。 上記の結果は、現在、論文として投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の本研究は、主に平衡系に着目して解析を行っている。そこで、今後は、運動方程式に非整数微分を適用するなどして、動的な場合における変位場の解析を開始する予定である。これにより、断層周辺の地震波伝搬など、空間の非整数性が大きな役割を果たすことが予想される系の理解が進むと予想される。 また、これまで行ってきた数理的解析手法をまとめ、不均質非線形地球連続体として体系化することを可能な限り試みる予定である。
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Causes of Carryover |
専門書およびデータ集の書籍価格が、予想を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに必要となった専門書の購入にあてる予定である。
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