2015 Fiscal Year Research-status Report
極域におけるVLF帯送信電波を用いた下部電離層擾乱に関する研究
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25400477
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
芳原 容英 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10303009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 史紀 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10302077)
山岸 久雄 国立極地研究所, その他部局等, 名誉教授 (20132714)
岡田 雅樹 国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40270425)
湊原 哲也 津山工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (70521772)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | VLF帯送信電波 / 下部電離層擾乱 / 昭和基地 / 極域 / 粒子降下 / 雷活動 / ガンマ線フレア / 波動・粒子相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究の実施事項として、 (1)南極昭和基地での連続観測の継続と、(2)VLF/LF帯送信電波観測を用いた下部電離層擾乱に関連する研究の実施があげられる。 まず、(1)では、H27年度初頭から開始しているVLF/LF帯観測が現在まで無事継続されている。また、H27年度のメディアに記録された観測データは、この春南極の昭和基地から無事到着し、取得内容も確認したところ適正なデータが取られていることがわかった。ここで、少なくとも2つの、VLF送信局について、振幅および位相が取得されていることが確認できた。しかしながら、観測開始から数ヶ月後以降に電磁干渉と思われる雑音により、データの質の低下が発生しており、上記の2ステーション以外の送信局からのデータがうまく取得できていないため、改善に向けて努力をしている。(2)として、南極西オングル島でのテスト観測データの解析、日本国内の 電通大VLF/LF帯観測ネットワークデータを用いた、下部電離層の、日食、雷活動、高層大気、宇宙天気現象などに伴う擾乱の実験的、理論的な解析による成果を国際学術論文や国際、国内会議にて発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昭和基地での観測システムの運用は、現地での観測隊員のたゆみない努力により順調に行われており、2つの送信局電波からの振幅と位相の変動はほぼ 連続して記録されている。しかしながら、この春南極から到着したメディアに記録されたデータにおいて、前述の電磁干渉ゆえ、2つの送信局以外からの電波の受信の困難さが問題となっている。一方、南極西オングル島での短期観測データに基づく、データ解析成果、また日本国内と海外における申請者が運用しているVLF/LF帯送信電波観測ネットワークを用いた研究成果が、着実に発表されていることを鑑みて、達成度をおおむね順調とさせていただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、昭和基地における連続観測のさらなる継続と、電磁干渉問題解決による観測データの質の向上があげられる。継続の意義としては、年変化等まで含めた長期のデータの獲得である。昨年度は、機材の調整等もかなりの頻度にて実施され、データ解析のための安定した長期データが不足していた。また、間も無く打ち上げ予定の日本の磁気圏宇宙ミッションとの衛星、地上同時観測データ取得は重要である。さらに、電磁干渉問題は、国内観測点と違い南極昭和基地での作業は慎重なステップを踏んで行わねばならず、原因の特定に苦慮していたが、現在までにひとつの大きな原因として機材の接地の不良が考えられている。現在、接地の状態の確認を行っており、今後昭和基地との連携をより密に取りながら、接地方法の大幅な変更による干渉の軽減に精力的に取り組む予定である。 次に、VLF/LF帯送信電波観測を用いた下部電離層擾乱に関連する研究では、西オングル等の研究成果(学会では発表あり)を学術論文として投稿する。また、この春昭和基地から到着した昨年度のデータの解析を最大限実施して、得られた知見に関して対外発表を行う予定である。さらに、日本、海外での観測網からのデータも含め、大気電気、地殻変動、宇宙天気分野に関連した電離層擾乱の観測的、理論的研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
特殊環境である南極昭和基地への設置にて機材の開発を実施したが、事前のオーダーメイドによる観測装置の開発、調達がその特殊性により遅れた。それに伴い、基地での連続観測開始時期が遅れたので観測期間が短い。有意なデータ取得には、観測期間の延長が必要であるため本事業の延長をお願いした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間の延長に伴い、昭和基地での観測の維持およびデータ取得、また日本国内でのデータ解析や、対外発表(学会、学術雑誌投稿)に関わる費用に使用予定である。
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Research Products
(14 results)