2013 Fiscal Year Research-status Report
世界規模の気候変動と地域的な構造運動に関連した日本海の海洋循環の成立と進化
Project/Area Number |
25400504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
板木 拓也 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (30509724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木元 克典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (40359162)
長谷川 四郎 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (90142918)
池原 研 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究副部門長 (40356423)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 古海洋学 / 微古生物学 / 日本海 |
Research Abstract |
日本海の海洋循環は、固有で僅かな気候変動に対しても影響を受けやすく、更新世における気候変動や氷河性海水準変動に応答して著しく変化している。さらに、海洋循環のより長期的な変化の考察においては、構造運動に伴う地形の変化が海洋循環に与えた影響を検討することが重要である。本研究の目的は、日本海および東シナ海北部の深海掘削コアを用い、堆積構造や微化石の分析等から過去500万年間の日本海の海洋循環システムを復元し、それらが気候・氷河性海水準変動に応答したものなのか、あるいは地域的な構造運動を反映したものなのかを明らかにすることである。本研究課題の研究代表者と研究分担者1名は、2013年8~9月に国際深海掘削計画(IODP)の一環として行われたExp. 346航海にそれぞれ微古生物学者および堆積学者として参加した。この航海では日本海7地点および東シナ海北部2地点で掘削が行われ、世界中から30名ほどの研究者が乗船して、それぞれの専門分野の分析を担当した。この航海においては、各掘削コアの詳細な記載などから堆積相の解析が行われ、海底の還元環境を示す暗色層や海氷の指標となる砕屑物が産出する層準を特定した。さらに、微化石の生層序を用いてコアの堆積年代を見積もった。その結果、日本海から採取されたコアは目標であった500万年前までの地層に達したものの、東シナ海北部では数十万年前までしか到達していないことが明らかとなった。そのため、航海終了後に琉球列島の約200万年前の地層から代替試料の採取を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査航海は概ね成功裏に終わり、航海中に取りまとめられた成果についても予察的な報告書が公開された。さらに今年の3月には、より詳細な分析を行うために得られたコアから各種分析用に試料の分取が行われ、それぞれの分担者および連携研究者らも作業を開始したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、それぞれの分析担当者は今年度の末に予定している中間報告会を目処に公表も含めた成果を出せるよう計画的に作業を実施する。ただし、底生有孔虫分析に関しては、今回採取されたコアには十分な化石の保存が期待されないことが分かったため、これらの化石が保存良好な陸上地層の試料を中心に分析を行うこととした。これによって海底のコアのみでは明らかにできない事象の解明に挑戦する。得られた成果に関しては、学会や論文などで順次公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析補助の人件費として予算を確保していたが、試料の確保が年度末になってしまったために人材の雇用には至らず当該予算の繰り越しを決定した。 分析試料が確保できたため、4月より分析補助として人材1名を1年間の契約で雇用した。昨年度の計画遂行の遅れを取り戻すため、更に1~2名を追加で雇用する予定である。
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