2013 Fiscal Year Research-status Report
沈み込み帯火山岩のin situホウ素同位体比から探るスラブ成分の定量化
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25400519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新城 竜一 琉球大学, 理学部, 教授 (30244289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホウ素同位体比 / 火山岩 / サンゴ / 海水 |
Research Abstract |
今年度は、溶液法でホウ素の同位体比を測定するための前処理方法を改良することに力を注いだ。具体的には、サンプルの中のホウ素を他元素から高純度で分離する効率的な方法を検討した。 サンゴおよび海水の標準物質を用いて、マイクロ昇華法を検討し、再現性と正確度が高い最適な分離条件の決定を行った。100度Cで12時間程度の加熱を行えば、100%に近い回収率が得られ、測定した同位体比も推奨値に近い値となることを確認した。本方法は炭酸塩サンプルと海水サンプルに適用するのに非常に有効である。 マイクロ昇華法を火成岩からのホウ素の分離に適応し、いろいろな条件を検討したが、満足できる結果が得られなかった。そこで、火成岩については従来のイオン交換法を改良することを検討した。本研究では、酸分解後にフッ酸の蒸発乾固をせずに、分解液から直接ホウ素を分離する方法を新たに開発した。この方法によって火成岩標準岩石から分離したホウ素の回収率は85%以上で、その同位体比も推奨値と一致する結果が得られた。 これまでMC-ICP-MS装置を用いた分析では、測定後のサンプルのホウ素が完全に除去されずに装置に残り、それが次のサンプルの測定に悪影響を与える、メモリー効果が大きいことが指摘されている。メモリー効果を取り除くには、長い時間硝酸で洗浄することが行われてきた。測定時間よりも洗浄時間の方が長い場合が多い。メモリー効果を短時間で抑えることができれば、データの生産性を飛躍的に向上させることができる。本研究ではいろいろな条件で実験を行い、硝酸に極微量のフッ酸を加えた混酸を洗浄液として用いることで、従来の約1/10の短時間でホウ素のメモリーを除去できることを明らかにした。単位時間あたりのサンプルの分析数を増やし、1サンプルあたりの硝酸やアルゴンガスの消費量を抑えることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで溶液法でのホウ素同位体比分析では、サンプルからホウ素を分離する技術が複雑であった。これまでに用いられている多段階のイオン交換カラム分離法では、コストや時間、さらに分離実験中の汚染のリスクも高く、実験操作にかなりの熟練が要求される。多数のサンプルを処理し、測定データの高いスループットを実現するには、この前処理部分がボトルネックとなっていた。そこで、使用する酸の種類や消費量を減らし、手間をかけずに、短時間でホウ素を分離する技術の開発が必要である。 本研究によって炭酸塩、海水、火成岩サンプルから効率よくホウ素を分離することが可能となった。 本方法を韓国周辺で採取されたサンゴ化石サンプルに適用してホウ素同位体比を測定し、サンゴ生育時の周辺海水の酸性度(pH)を推定する古環境復元の研究を共同研究として実施した。また、沖縄トラフの活動的熱水鉱床で採集された熱水や海水についても本方法で分析し、地下高温流体の地球化学的性質について明らかにする共同研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)レーザー装置(LA)とMC-ICP-MS装置を組み合わせた分析システム(LA-MC-ICP-MS法)で、固体試料の表面を直接分析(in situ分析)するための技術開発を行う。ガラス標準物質や標準岩石ガラスを用いて、精度よく同位体比が測定できるよう、分析条件(LAの調整とMC-ICP-MSの調整)の決定を行う。装置の改良による高感度化によって、分析精度の向上と測定時間の短縮が期待できるため、MC-ICP-MS装置そのものの改良も行う。 2) in-house単斜輝石スタンダードの準備と値付け:単斜輝石のLA-MC-ICP-MS分析では、マトリックス効果を抑え、元素分別の程度を揃えるため、NISTガラスよりもマトリックス・マッチングした単斜輝石スタンダードを使用した方が最良の結果が得られると予想される。そこでin-houseスタンダードとして使うための単斜輝石を準備し、これを溶液法で分析しホウ素濃度および同位体比のキャラクタリゼーションを行う。 3) 火山岩のサンプリングと鉱物分離:現在手持ちのサンプル量ではMIや単斜輝石の数が足りないため、南九州と北琉球(トカラ火山列)において、カンラン石斑晶を有する玄武岩のサンプリングを行う。そしてカンラン石および単斜輝石斑晶の分離を行い、MIを有するカンラン石斑晶のピックアップ作業を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用予定のレーザー装置が故障し、半年間使用できなかった。これに関連した実験ができなかった。 メルトインクルージョンの均質化実験のための旅費を確保していたが、相手側との日程調整が合わなかったため、旅費を執行できなかった。 今年度中にレーザー装置の修理を完了する予定のため、これに関連した実験の経費として使用する。 均質化実験が実現できるよう、相手側研究者と日程調整を行い、旅費を執行する。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] MIS 7 interglacial sea surface temperature and salinity reconstructions from a southwestern subtropical Pacific coral2013
Author(s)
Asami, R, Iryu, Y., Hanawa, K., Miwa, T., Holden, P., Shinjo, R., Paulay, G.
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Journal Title
Quaternary Research
Volume: 80
Pages: 575-585
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Magmatic and geodynamic evolution of Urumieh-Dokhtar basic volcanism, Central Iran: major, trace element, isotopic, and geochronologic implications2013
Author(s)
Yeganehfar, H., Ghorbani, M.R., Shinjo, R., Ghaderi, M.
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Journal Title
International Geology Review
Volume: 55
Pages: 767-786
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Evaluation of heavy metal contents and Pb isotopic compositions in the Chao Phraya River sediments: Implication for anthropogenic inputs from urbanized areas, Bangkok2013
Author(s)
Wijaya, A.R., Ouchi, A.K., Tanaka, K., Cohen, M.D., Sirirattanachai, S., Shinjo, R., Ohde, S.
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Journal Title
Journal of Geochemical Exploration
Volume: 126-127
Pages: 45-54
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Sr-Nd-Pb-Hf isotopic constraints on the diversity of magma sources beneath the Aden Ridge (central Gulf of Aden) and plume-ridge interaction2013
Author(s)
Shinjo, R., Meshesha, D., Orihashi, Y., Haraguchi, S., and Tamaki, K.
Organizer
International Symposium 'Large igneous provinces of Asia, mantle plumes and metallogeny'
Place of Presentation
Institute of Geological Sciences, Vietnam Academy of Science & Technology, Hanoi, Vietnam
Year and Date
20131107-20131111
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