2014 Fiscal Year Research-status Report
プレート沈み込み帯における蛇紋岩化作用の物理化学的条件の解明
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25400520
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前川 寛和 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50173696)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ピクライト / 蛇紋岩 / 蛇紋岩海山 / マリアナ / 神居古潭変成岩類 |
Outline of Annual Research Achievements |
マリアナ前弧に分布する蛇紋岩海山のうち、変成岩を多産するツインピークス海山に焦点を当て、変成岩類の鉱物組成、鉱物の化学組成について検討を行った。変成岩はすべて塩基性岩で、その原岩に角閃岩が認められた。角閃岩起源の変成岩は初期の変成鉱物として緑色角閃石、ルチル、緑レン石を含み、二次的変成鉱物としてマグネッシオリーベック閃石、緑レン石、パンペリー石が生じている。より深部で変成作用を受けた後比較的浅部で低温高圧変成作用を受けたと考えられる。この岩石とアルカリ角閃石とローソン石を含む火山岩起源の変成岩の全岩分析を行った。共に玄武岩質であるが、前者は後者に比べMgに富みFeとREEに乏しいことがわかった。 北海道平取町額平川流域の神居古潭変成岩類の調査を2度にわたって実施し、調査地域に分布する岩石類が海底火山活動の産物であること、また、ピクライト質マグマの噴出を伴うものであったことを明らかにした。昨年度の段階で、NiやCo等の適合元素に富む特異な火砕岩を見出していたが、その形成にピクライト質マグマが大きく影響していることが明らかとなった。ピクライト質岩は、従来蛇紋岩と誤認されてきたが、火山岩としての特徴を有しており、鉱物種・鉱物組織・鉱物組成で明らかに区別することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北海道神居古潭帯において、2度調査を実施し、岩石類の産状を明らかにすることができた。蛇紋岩メランジュ体の南縁に分布する特異な緑色岩について、それがピクライト質マグマが関与していることでその特異性が説明できることが明らかとなった。北海道神居古潭帯の研究に多くの時間を割く結果となったため、次年度は、マリアナ蛇紋岩海山中の蛇紋岩と変成岩の解析に主力を注ぐ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
マリアナ前弧蛇紋岩海山の変成岩と蛇紋岩との関係については、今後、その形成条件の解析を進めてゆく。蛇紋岩については、変成かんらん石や変成輝石等に含まれる微量元素の分析を、昨年度大阪府立大学に新たに導入されたFE-EPMAを用いて行い、その特徴を明らかにしてゆく予定である。神居古潭変成帯において、ピクライト質岩の起源を考察すると共に、成果を国際誌上で公表する。
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Research Products
(2 results)