2014 Fiscal Year Research-status Report
超伝導磁束量子ビットとの結合系を構成する分子電子スピン量子ビットの開発
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25410098
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中澤 重顕 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任准教授 (70342821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工位 武治 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (10117955)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子メモリー / Qubit / ニトロニルニトロキシドラジカル / 量子コンピュータ / 量子情報処理 / 基底三重項状態 / ESR |
Outline of Annual Research Achievements |
安定な基底三重項分子を超伝導磁束量子ビットと結合させて量子メモリーとして機能させる研究を行っている。超伝導磁束量子ビットの動作する20mK(0.0139 wavenumber)で量子状態を初期化するために微細構造分裂(D値)の大きな基底三重項分子を準備する必要がある。基底三重項ニトロニルニトロキシドラジカルの中で最もD値の大きなジラジカル1(D=-0.0655 wavenumber(凍結溶媒中))と比較的大きなD値をもつジラジカル2(|D|=0.025 wavenumber(凍結溶媒中))を準備した。量子メモリーとして機能させるためにデコヒーレンス時間(スピン-スピン緩和時間)は長い必要があるので、デコヒーレンスの大きな原因の一つであるジラジカル間の磁気的な相互作用を小さくするために反磁性のホスト分子の単結晶に希釈させる必要があるが昨年度までにホスト分子の作成および希釈単結晶化に成功し、希釈単結晶をすりつぶしたパウダーのESRスペクトルより結晶中でのD値の決定はなされた。今年度は単結晶ESRスペクトルの解析を行い、電子スピン状態の詳細な解明を試みた。ジラジカル1は結晶中にコンフォマーが2種類存在し、結晶の対称性から磁気的に3サイト存在することから合計6種類のスペクトルの角度変化が現れるが、すべてスペクトルシミュレーションにより再現することができDテンソルを決定することができた。テンソルの対角化により得られる余弦方向から分子構造に対するDテンソルの主軸方向を決定することができた。ジラジカル2はコンフォマーは1種類であるが、同様の解析によりDテンソルおよび分子構造に対する主軸方向を決定した。希釈単結晶中の電子状態について詳細を解明できたので今後、単結晶の表面の平坦化を行い超伝導磁束量子ビットと結合させる実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
希釈単結晶のESRスペクトルの解析に成功し分子構造および結晶の外形に対するDテンソルおよびテンソルの主軸方向を決定でき、超伝導磁束量子ビットとの結合実験に必要な電子状態についての情報はすべて得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
超伝導磁束量子ビットと結合させるには結晶表面の平坦化が必要であるので、結晶表面の研磨を行い、結合実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費が余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の国内旅費に使用する。
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Research Products
(8 results)