2013 Fiscal Year Research-status Report
水蒸気凝縮法を用いた個別ナノ粒子質量分析法の開発と大気ナノ粒子測定への応用
Project/Area Number |
25410140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古谷 浩志 東京大学, 大気海洋研究所, 研究員 (40536512)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大気ナノ粒子 / 単一ナノ粒子質量分析 / 化学組成 / 水蒸気凝縮 |
Research Abstract |
大気エアロゾルを粒径別に選別する静電分級器(TSI社, Model 3080-D, DMA)を購入し、所持している水蒸気凝縮粒子カウンター(WCPC)と接続し、大気エアロゾルをサイズごとに分級できることを確認した。実験計画の通りに、DMAでサイズ選択した大気エアロゾル(粒径100 or 150 nm)をWCPCに導入し、WCPC内のナノ粒子を肥大化させる水蒸気凝縮部・粒子計数部の後段からサンプルフローを一部分岐させて光学式パーティクルカウンター(OPC)に導入し、肥大化させた粒子のサイズ計測を行った。しかし測定開始後にOPCは導入した粒子濃度よりも高濃度の粒子濃度を示し始め、しかも粒子導入を中止しても、その高濃度の値を示していた。原因を調べたところ、WCPC内で水蒸気を凝縮させるために60℃に加温され水蒸気過飽和状態にあるサンプルフローを直接OPCに導入したためOPCの光学検出部で水蒸気が結露したためだと判明し、それを防止するためにサンプルフローの温度を室温に戻した後にOPCに導入することを試みた。直接導入時に見られた異常はなくなり予想される個数濃度が測定されたが、DMAに大気エアロゾルを完全に除去した大気を導入してもOPCが計数する粒子数はゼロに戻らなかった。肥大化させたナノ粒子のサイズをOPCで測定することは本研究の基本となるので、この問題を解決するようテストを行ったとこころ、粒子検出効率を向上させるためサンプルガスに添加されているシース流がOPC内の流路を循環しており、WCPCに接続したことで、その循環の途中でOPCのサンプルガス排出口から大気がOシース流に逆流し、それが間違ってOPCで計数されていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レーザーイオン化単一微粒子質量分析計(ATOFMS)で効率良くエアロゾル1つ1つの科学分析を行うには、水蒸気凝縮によって肥大化させたナノ粒子の粒径を300-400 nm程度にコントロール必要がある。そのためには、まずWCPCによって肥大化されたナノ粒子の粒径を測定し、本研究でテストする予定である様々な粒径コントロールの手法によって粒径をコントロールし、その粒径をモニターする必要がある。WCPC内で過飽和状態にあるナノ粒子フローを取り出したところ、過飽和状態である故に結露などの問題が生じており、粒径モニター手法を模索中である。この粒径モニターの手法を確立せずには次の粒径コントロール、ATOFMSによる化学分析というステップに進めず、現在予定よりも研究の進捗が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
WCPC内で過飽和状態にあるナノ粒子フローをOPCで測定する際の結露の問題は、OPCに導入するまえにナノ粒子フローを室温状態に戻すこと、また定期的にOPCに乾燥したガスを導入してOPC内部を乾燥させ結露を防ぐことで解決出来る見込みである。またOPCへの大気逆流の問題も、シース流をOPC内で循環させずに、別の流量コントロールシステムを用いることで解決できる見込みである。これらの問題を解決し、水蒸気凝縮によって肥大化させたナノ粒子の粒径モニターの手法を確立させ、ナフィオンドライヤーなどを用いて粒径をATOFMSでの測定に最適な300-400 nmにコントロールするよう開発を進め、ATOFMSによる個別化学組成測定を達成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に必須のTSI社製静電分球器の価格が円高のために予定価格よりも上昇し、予定していたマスフローコントローラー購入を断念して静電分級器の購入に充当したため余剰金が僅かに生じた。また実験の進捗がやや遅れており、予定していたナフィオンドライヤーの購入をまだ行っていないため。 予定どおりにナフィオンドライヤー購入にあて、残りは購入予定だったマスフローコントローラーの代替品(流量計)の購入に充てる。
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