2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420153
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木村 繁男 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (70272953)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門前 亮一 金沢大学, 機械工学系, 教授 (20166466)
小松 信義 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (20436827)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 共晶合金 / 凝固速度 / 組織制御 / 組成制御 / 伝熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、冷却面温度あるいは冷却の熱流束を能動的に制御することにより、固液界面の成長速度を制御し、生成される固相組織の様々な変様について主に実験的に研究することである。研究対象の合金として、当初予定していたPb-Sn系ではなく、Zn-Sn系を用いることとした。これはPbのもっている毒性を避けるためである。Zn-Sn系は、低融点(200数十℃)であり、共晶系の合金であるなど、Pb-Sn系ときわめて酷似した物理特性を有している。 昨年度実施した実験では、水冷されている冷却面をるつぼ内の融液に接触させて凝固を進行させた。初期温度差が200℃以上あるため、巣が多数発生し、初期の5mm厚さまでの間にこの巣が数多く見られた。これをなくすため、本年度においては冷却ディスクを銅から熱伝導率の小さいステンレスに変更し、初期の冷却速度を減少させた。これにより、巣の発生が抑えられたことが確認された。また、昨年度は光学顕微鏡による組織観察により、生成された固相内でのデンドライト状の共晶組織の量により組成の変化を類推していた。このため組成変化を正確に見積もることができなかった。そこで本年度はX線蛍光分析装置を用いて、固相の各位置から切り出された5mm四方の試験片内の組成を定量的に計測した。その結果、冷却面位置から成長方向に離れるに従い、一度Zn濃度が減衰が減衰し、再び上昇する傾向を認めた。この原因はまだ不明である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
達成度は40%と判断する。主な理由は以下のとおりである。実験において、冷却面温度の制御が難しく、当初意図したような冷却水の流量調節による連続的な冷却面温度制御が難しいことが明らかとなった。とくに、凝固初期における温度差が大きくなりすぎ、多数の巣の発生を招いた。これを修正するために、冷却面をステンレスに変更して実験したが、今度は熱伝導率が小さすぎるためか、凝固速度を変化させることが難しくなった。また、実験に手間取ってしまい、数値モデルの検討が進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
凝固速度を連続的に変化させることがこの研究の主眼である。そのため、冷却面温度を連続的に変化させ、固液界面での熱流束を連続的に変動させなければならない。その制御が実際にはなかなか難しいことが分かった。今後は、初期の巣の発生はそのままにし、ある程度凝固速度が定まってからの制御のみを行うことにする。すなわち、巣の多い凝固初期の厚さ数ミリメートルは、測定対象とはせず、比較的安定した凝固速度となるその後の固相のみを対象として、そこでの組織、組成の変動を制御することを試みる。
|