2014 Fiscal Year Research-status Report
空中静止に向けたトンボ型飛行ロボットの姿勢変更ダイナミクスの研究
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25420190
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
平木 講儒 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40249933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 慶一 北九州工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (40249876)
井上 昌信 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70253549)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 羽ばたき飛行 / トンボ / ホバリング |
Outline of Annual Research Achievements |
羽ばたきロボットの積載能力向上を実現するため、羽ばたき機構の見直しを図った。これまでは、一つのモータで前後左右4枚すべての翼を動作させる機構を採用していたが、可動部に発生する摩擦等で費やされるエネルギーがモータ動力に比べて大きく、本機構のままで積載能力の大幅な向上を望むのは困難と考えた。そこで、一つのブラシレスモータで左右2枚の翼を動作させることにし、さらに左右の翼が独立して異なる角度を取ることができる機構を新たに考案した。左右の翼を独立させることにより摩擦等で消費されるエネルギーが減少し、羽ばたき周波数は13Hz超にまで上昇した。新機構を採用した2枚翼機体を作り、平成25年度に開発した円軌道試験装置に装着して発生揚力を測定したところ、機体重量に対する積載可能重量の比(ペイロード率)が41%にまで上昇した。次に、4枚翼を動作させるべく、2つの新機構を前後対称に配置した機体を新たに製作し、同様にして円軌道試験装置に装着して発生揚力を測定したところ、ペイロード率は30%となった。単独の電池を使って2つのモータを駆動させているために、羽ばたき周波数の減少に対応してペイロード率も下がったが、当初目標であった15g以上の積載可能重量目標値を上回ることができた。さらに、この新機体を使って、空中静止に向けた予備的な姿勢保持試験も実施した。機体の姿勢として円軌道試験装置可動部の腕の角度データを取り込み,前翼2枚用のモータ回転数を固定して後翼2枚用のモータ回転数を変化させることで、目標ピッチ角を0度で保持する試験を行い、姿勢保持が可能な条件の把握を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで採用してきた羽ばたき機構を見直し、2つのモータを使って4枚の翼を動作させる新たな機構へと変更することによって、当初目標とした積載可能重量値を上回ることできたことに加えて、次年度の主要な課題である空中静止に向けた機体姿勢保持についても、予備的ながらも試験を先行して実施して、適する条件についての重要な知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
羽ばたき機構の見直しによって、機体姿勢の変更手段の選択肢が広がった。ピッチ角については前後2つのモータの回転数を、ロール角については左右の翼の取り付け角を変更するという新しい手法を採ることが可能となった。ただし、ロール角変更については新たに2つのサーボモータを左右に装着する必要があり、羽ばたきロボットの積載能力の更なる向上が要求される。これについては未踏の内容を含むため発展の課題とし、主なる目標は前後2つのモータ回転数調整による機体ピッチ姿勢の保持に置く。具体的には、目標のピッチ姿勢を適切に選ぶことで、前進・静止・後退運動が可能なことを円軌道試験装置を使って示す。
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Causes of Carryover |
計画時には海外で開催される国際学会に参加して発表を行う予定でいたが、本研究内容により適した国際学会(MoVIC2014)が札幌で開催されることを知り、その学会での発表に切り替えたことに伴い、少ない支出で済んだことが一因である。もう一つの理由として、重心移動を当初姿勢変更手段として計画していたところ、羽ばたき機構の見直しを行ったことで、新たな姿勢変更手法を見出すに至り、まだ開発すべき部分が多く残されていることも挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は計画最終年度でもあることから、研究成果の発信をより強く行うために、学会での発表機会を増やすとともに、海外のオープンアクセスジャーナルへの投稿も計画している。研究面においても、新しい羽ばたき機構の採用に伴い、新たな姿勢変更手法を確立するために、開発すべき要素が多く残されているため、それらへの対応に利用する予定である。
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Research Products
(3 results)