2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
河野 晋 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30270375)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パルスパワー / バイオエレクトリクス / 受精卵 / 遺伝子導入 / メダカ / GFP |
Research Abstract |
パルスパワー領域の高電圧極短パルスと通常領域の低電圧長パルスを組み合わせたパルス印加システムを用いて,対象生物に対する遺伝子導入を試みた.これまでの研究結果より,質量の大きな化学物質を受精卵に導入するためには,ある程度大きな電気エネルギーを反応容器に投入する必要があることが分かっており,遺伝子の導入を可能にするためには,これまでのパルス波形(シングルパルス,ダブルパルスなど)では不十分であると考えられた. そこで,高電圧極短パルスに組み合わせる低電圧長パルスとして,正負パルスのパルス幅が異なる両極性バーストパルス群を用いて実験を行った.はじめに,物質導入時に用いる電気パルスを大きくしたときに,対象生物に対するダメージ増加の有無について調査した.このとき対象生物はメダカ受精卵とした.非対称バーストパルスの形状(正負パルス幅,電圧,間隔,バーストパルス数など),電極形状,パルス印加後の周囲溶液などを変化し,メダカ受精卵に対する電気ダメージの大きさを観察等により調査した結果,メダカ受精卵に対する影響を抑えつつ印加できる非対称バーストパルスの条件が判明した.さらにメダカ受精卵に対するパルス印加後の処理に用いる溶液による影響についても調査した.今回の条件を用いて物質導入実験をした結果,数種類の化学物質を電気ダメージ無しで受精卵内へ導入できた. 次に,非対称バーストパルスを用いて,メダカ受精卵にプラスミド導入を試みた.導入実験から1~2日後に蛍光顕微鏡で観察したところ,一部の受精卵内の細胞でGFP(Green Fluorescent Protein, 緑色蛍光タンパク質)によると考えられる緑色蛍光が観測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非対称バーストパルスシステムは問題なく動作しており,また,電気パルスや周囲溶液などの受精卵に対する影響を低減する条件調査も進んでいる.これらの実験条件において一部のメダカ受精卵に対して遺伝子導入ができたことを示す結果も出ており,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
メダカ受精卵に対してはさらに高い割合で遺伝子導入が確認できるようにパルスパラメータやそのほかの実験条件について詳細に調査する.また,そのほかの生物(線虫,大腸菌など)に対する遺伝子導入の可能性を探る調査を開始する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究はおおむね計画通りに進んでおり,平成25年度はほぼ予定通りの支出であった.今回の差し引き金額は比較的小額でもあり,平成26年度と合算して使用するほうが効率的であると判断した. 平成26年度分と合算して使用する.
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