2014 Fiscal Year Research-status Report
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25420531
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 昭男 日本大学, 理工学部, 教授 (80318360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 漂砂 / 礫養浜 / 海岸調査 / 移動床実験 / 数値計算モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.礫養浜を実施した海岸の現地調査について:養浜後の海浜の地形変化と断面地層(砂礫互層)の変化を把握するために,茨城県鹿島灘神向寺海岸・明石海岸において季節変化を勘案して,2014年5月17日,7月5日,8月4日,9月24日,11月17日,12月8日の計6回にわたって現地調査を行った。これらの調査では,礫上への細砂の堆積層厚,汀線,縦断面地形の変化を計測・分析し,気象・海象データと照合することにより,地形変化と堆積砂層厚の変化を把握した。 2.移動床水理模型実験について:昨年度に引き続き礫養浜を模擬した移動床実験を実施し,礫上堆砂の形成過程を詳細に調べた。移動床2次元実験では中砂(d=0.35㎜),粗砂(d=1.2㎜),細礫(d=3.3㎜),中礫(d=7.0㎜)を中砂で構成した砂浜の汀線付近に養浜し,海浜の変形および安定状況を調べた。されに今年度製作した3次元水槽では,平面的に汀線直角方向に砂と礫を分断して形成した一様勾配の海浜モデルに対して規則波を与え,砂礫の混合過程と安定地形の形成過程を平面的に解明することを試みた。その結果,砂礫混合層では礫は単粒径の場合と異なる動きをすることが観察され,さらなる検討の必要性が示された。 3.学会発表等の成果の発表について:2013年の成果を海洋開発シンポジウム(2014)で発表した。さらに本研究費の補助によりICCE2014において研究成果発表と研究動向を調査することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.礫養浜を実施した海岸の現地調査について:2013年度の研究結果を踏まえて2014年は調査頻度を上げ,茨城県神向寺海岸・赤石海岸において,ほぼ2ヵ月毎に調査を行った。地形や礫上堆砂の季節変動は2013年の結果を裏付けるものであり,さらに,数か所におけるほぼ同位置の砂層厚の季節変化が得られた。この結果をもって現地現象の把握はほぼできたものと考えられる。 2.移動床水理模型実験について:継続して行った2次元実験では,汀線付近に礫養浜を行うと砂礫混合の緩傾斜の外浜が形成されて前浜が安定し,中礫を用いた場合には前浜で礫上堆砂が生じた。これは本研究の目指す成果の一つであったが,一方で,砂礫混合層では礫は単粒径の場合と異なる滑らかな動きをすることが観察された。このことを踏まえて,砂礫を混合した構成材による2次元実験を行い,現象を詳細に調べた。また,3次元実験では,この現象と既往の知見を確認するために,砂礫を分断して構成した海浜変形と砂礫混合過程の現象を調べた。 3.学会発表等の成果の発表について:以上の結果のうち,移動床水理模型実験の結果については海岸工学講演会(2015)に掲載予定である。また,現地調査については,日本沿岸域学会研究討論会(2015)で発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.礫養浜を実施した海岸の現地調査について:2013年,2014年の継続的な調査で現地状況はほぼ確認されているが,高波浪作用の前後において状況を比較するために2回程度の調査を行う。 2.海浜変形モデルの構築について:現地調査,移動床水理模型実験の結果を踏まえて礫養浜後の3次元海浜変形計算が可能な予測モデルを構築する。 3.移動床水理模型実験について:粒径差が大きい砂礫が混合した場合の海浜においては,礫が特徴的な移動をすることが実験で観察されたので,これを更に詳細に調べ,数値計算の精度向上に応用する。 4.学会発表等の成果の発表について:本研究の補助によりAPAC2015において研究発表と研究動向調査を行う。2015年度の研究成果は,2016年に開催される海岸工学講演会,海洋開発シンポジウム,ICCEで発表する予定である。
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