2013 Fiscal Year Research-status Report
小地域データを活用した被災地支援方策および想定大地震事前対策に関する研究
Project/Area Number |
25420621
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石坂 公一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282115)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小地域データ / 国勢調査 / 住宅・土地統計調査 / 被災想定地域 / 復興計画 / 被災者特性 |
Research Abstract |
自然災害からの効果的な復興のためには地域の特性を十分に取り込んだ計画策定と事業実施が欠かせない。本研究は町丁目や基本単位区(50世帯程度)といった「小地域」単位での社会・経済データの推計手法を確立し、被災地域の地理的データと重ねあわせることで、従来の集計データによる分析では捉えられないミクロな地域レベルにおける地域特性を的確に把握し、より効果的な復興事業の実施を可能とするシステムを開発することを目的としている。また、開発したシステムを用いて、東日本大震災被災地域における効果的な復興支援方策と地域別、方策別の支援必要量を明らかにするとともに、東海、東南海地震による被災想定地域についても基礎的な小地域データの推計およびそれを用いた被災推計と被災者特性を踏まえた支援必要量の推計を行う。 本年度はこれまでに開発した国勢調査データを対象とした基本単位区別の居住状況分析用の多重クロス表データを推計する手法を平成22年の国勢調査結果に適合するように改良し、平成22年10月時点の東日本大震災被災地域の基本単位区別の居住状況データを推計した。さらに、国勢調査データでは調査対象外となっている項目については、2008年住宅・土地統計調査の表象結果からの推計結果を上記のデータに結合させ、居住状況に関するより詳細なデータの推計を行った。また、宮城県、福島県を対象として、推計結果を津波浸水地域、原子力災害高放射線量地域等の地理的データと重ね合わせることにより、被災地域に居住していた世帯の詳細な特性を把握した。また、復興庁や各自治体が実施した住民意向調査の結果を分析し、被災地域における今後の住宅需要の特性を把握するとともに、被災地における今後の居住復興策の方向性についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に予定していた平成22年時点における被災地域の基本単位区別の居住状況データの推計および推計結果と浸水地域等の地理的データの重ね合わせによる被災世帯の詳細な特性の把握は、属性項目として世帯収入、居住していた住宅の建築年度、構造等の情報も含める形で実施することができた。この意味で当初の目標はおおむね達成できた。また、当初の計画では、平成26年度に実施する予定としていた原子力災害による被災地域を対象とするデータ推計作業にも着手することができ、東海、東南海地震による被災想定地域についても推計作業のための基礎的な準備を整えることができた。この意味で研究はほぼ計画どおりのペースで進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、対象地域を首都直下地震、東海、東南海地震による被災想定地域に拡大し、これまでに開発したデータ推計手法を用いて、基本単位区別の居住状況データの推計を行い、これを用いて震災が起こった場合のより詳細な被害推定と被災者特性および仮設住宅必要量等の支援必要量の算定を行う。 また、平成27年度は、前年度までの東日本大震災被災地域における効果的な支援方策および支援需要についての検討を踏まえて、今後の中長期的な復興計画の方向についての具体的な提案を行う。また、東日本大震災被災地域における復興過程の実態データの分析を通じて被災者属性別の復興支援需要の特性を把握し、東海、東南海地震被災想定地域についてのより詳細な被害推定と被災者特性の分析結果と結合することで、被災想定地域の「事前復興計画」の策定の方向性についての検討を行う。さらに最終年度として研究全体の取りまとめを行う。
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